学生・卒業生の活躍
2025年11月06日
イタリアの短期留学プログラムMetaverso Raffaello Masterclassに本学学生が参加しました
イタリアのPoliarte(ポリアルテ美術・デザインアカデミー)から、短期留学プログラムであるMetaverso Raffaello Masterclassの紹介を受け、本学の学生2名が参加しました。本プログラムでは、EU内外のデザインを学ぶ大学生・大学院生を対象に、イタリアのマルケ州でサービスデザインや地域マーケティングについて学びます。
Poliarteはイタリア・マルケ州のアンコーナ市に位置し、ファッション、インテリア、プロダクト、ヴィジュアル、映画、メディア等のコースを持つ大学です。今年6月2日に大阪・関西万博イタリア館にて開催されたパネルディスカッションに、本学デザイン学科の松田達准教授が参加したことから交流が始まりました。
Metaverso Raffaello Masterclassに参加した、デザイン学科4年の和田響さん、山下桃佳さんのインタビュー記事を紹介します。

和田響さん、山下桃佳さんインタビュー記事
Q&A
Q: Metaverso Raffaello Masterclassを知ったきっかけは?
A:
和田さん:SUACメールで募集を知りました。以前からイタリア建築に興味があり、初海外はイタリアと漠然と考えていました。
山下さん:和田さんの誘いを受け、海外の建築に触れてみたかったため、行くことを決意しました。大学生のうちに海外へ行きたいと考えていましたが、安定思考な性格からこれまでは行動できずにいました。
Q:Metaverso Raffaello Masterclassに挑戦してよかったことは?
A:
和田さん:インテリアやプロダクトなど、自分とは異なる分野を専門とする学生が集まり、協働できたことがよかったです。日本でも取り入れられそうな、ヨーロッパのシステムに触れることができました。
山下さん:学生のうちに、年齢が近く、似た分野を学ぶ人と出会うことができ、良い経験となりました。アメリカ、セルビア、ポーランドなど、多様な背景を持つ学生と、英語で意見交換をしたり、プロジェクトに取り組んだりと、良い経験となりました。
Q:ポートフォリオの作成等、事前の準備で大変だったことはありますか?
A:
和田さん・山下さん:履歴書については、松田先生に添削をお願いし、イタリア文化については森先生(副学長・国際交流センター長)よりアドバイスをいただきました。ポートフォリオについては、就職活動で作成していたものを日本語から英語へ翻訳したものを提出しました。提出期限まで、2、3日しかなかったことから、就職活動時に作成したものを活かすことができて、良かったです。
Q:和田さん、山下さんが研究している内容について教えてください。
A:
和田さん:建築について学んでいます。建築の面から、どのように町おこしできるかを考えています。
山下さん:建築について学んでいます。
Q:その研究分野に興味を持ったきっかけは何ですか?
A:
和田さん:小さい頃から家が好きで、特にインテリアに興味がありました。内装から興味を持ち、建築に辿り着きました。人間が敵わないスケール、建物の大きさや装飾の細かさが好きです。
山下さん:小さい頃から、ものづくりや絵を描くことが好きでした。祖父が一級建築士であることから、建築について少し身近に感じていました。大学では、建築×デザインについて学びたいと思い、文芸大への進学を希望しました。
Q:留学先ではどのような体験をしましたか?
A:
和田さん・山下さん:サービスデザインについて考えました。一つの村・町を舞台に、座学・実践を行い、4、5人のメンバーで構成されたグループで、実際にコンセプトに合ったものを設計・提案しました。最終日には、町の人に向けて発表を行いました。私たちのグループは、ホステルを提案しました。地元の使われなくなった小学校をリメイクし、宿泊施設をつくります。ホステルには短くて半年間から滞在可能で、そこに若者が住みながら、農業・地域の特産品発信などに取り組みます。オンライン上で仕事をして収入を得ながら、宿代の代わりに地域に貢献した活動を行います。住んでいる間に町の魅力に気づいてもらい、後に移住してもらうことが目的です。地域の人に寄り添ったものになるよう、徐々に若者が増える仕組みを考えました。
Q:印象に残った活動は?
A:
和田さん:インタビューが印象に残っています。これまでは建築の事前準備として、土地の特徴を理解するために、本をはじめとした資料に触れてきました。実際に生活する人から話を聞く、インタビューが町を理解するために効果的であることを感じ、卒業制作に取り入れたいと思いました。
山下さん:実際に、土地に暮らす経験ができたことが印象に残っています。私は卒業制作で、高齢者施設について取り組んでいます。イタリアの田舎の特徴として見られる、急斜面な土地で実際に生活をしてみて、高齢者にとって、上り下りが苦痛であることを身に染みて体験することができました。自身の卒業制作に活かしていきたいと考えています。
Q:苦労したことはありましたか?
A:
和田さん:言語の壁に苦労しました。インタビューは、英語を得意とするメンバーが主で行いましたが、インタビュー内容を理解することに苦労しました。また、1週間小麦中心の食生活を送っていたため、お米が食べたくなりました。ポーランド出身の学生が料理を振る舞ってくれるなど、食文化を通じた交流ができたことは楽しかったです。
山下さん:実際に生活する中で、異なる文化に触れたことです。例えば、ヨーロッパでは浴槽に浸かる文化がないことから、1日の疲れをとることが難しかったです。また教室内では、教師も学生も自由に喫煙していることから、副流煙に悩みました。日本と異なる文化に驚くことばかりでしたが、ハッピーアワーという授業と授業の合間にお酒を飲む文化に触れるなど、実際に行くことで得られる経験が面白かったです。
Q:帰国後はどのような活動を計画していますか?
A:
和田さん:卒業制作では、地元・清水のアーケード街活性化に向け、制作に取り組んでいます。イタリア滞在中にも、ミラノでアーケード街を見ることができました。イタリアでの経験を卒業制作に落とし込みたいと考えています。将来は、デザインを主に扱う意匠分野へ就職します。自分の目で色々な町を見て、地域の特色を建築に落とし込み、自分が考えたものを形にすることが楽しみです。「人間が敵わないスケール」の建築に携わることが夢です。
山下さん:卒業制作では、高齢者のための建築をテーマに取り組んでいます。日本における高齢化の問題は、イタリアにも重なる点があります。一方で、イタリア人高齢者は日本人高齢者より元気な印象を受けました。それは、イタリアの方が高齢者同士のコミュニティが強固で、教会や広場がキーとなって機能を果たしているからだと考えます。イタリアでの学びを卒業制作に落とし込む予定です。将来は、建築から内側へ、空間ディスプレイの分野に就職します。外観を主に扱う建築を学ぶ中で、空間ディスプレイという分野を知り、より人との距離が近い内装に魅力を感じ、就職を決めました。
Q:SUAC生に向けてメッセージをお願いします。
A:
和田さん:留学をすることで、確実に視野が広がりました。留学を経て、デザインの表現の仕方や人をよく観察するなど「気づき」のアンテナが以前より広がったように思います。
山下さん:渡航準備などで不安になる場面が多くありましたが、海外に出れば初めての経験ばかりです。「とりあえずやってみる」ことが、経験値に直結します。留学費用はかかるものの、興味がある人は出世払いを提案するなどして、ぜひ行ってみてください。視野が広がります。

オーストラリアのサザンクロス大学に8か月留学。現在は国際交流センターの留学相談ブースにて相談業務を行っている。
発行部署:教務・学生室
