教員紹介

宮崎 千穂准教授画像

宮崎 千穂MIYAZAKI Chiho

准教授

  • 文化政策学部 国際文化学科
  • 大学院 文化政策研究科
E-mailアドレス c-miya@suac.ac.jp
キーワード:
風土病、感染症、ユーラシアと文明、シルクロード観光、井上靖
出身地 愛知県
学歴 名古屋大学文学部史学科国史学専攻卒業(1997年)
名古屋大学大学院国際開発研究科国際コミュニケーション専攻博士前期課程修了(1999年)
名古屋大学大学院国際開発研究科国際コミュニケーション専攻博士後期課程修了(2005年)
学位 博士(学術)(名古屋大学、2005年)
経歴 啓明大学校国際学大学日本学科 招聘専任講師(大韓民国)(2005年から2007年)
独立行政法人日本学術振興会 特別研究員PD(2008年から2011年)
独立行政法人日本学術振興会 特別研究員RPD(2011年から2014年)
名古屋大学国際機構国際教育交流センター 特任助教(2015年から2019年)
名古屋大学人文学研究科 研究員(2019年)
名古屋大学人文学研究科超域文化社会センター 共同研究員(2019年から2020年)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 非常勤研究員(2020年から2022年)
静岡文化芸術大学 准教授(2022年から)
担当授業分野 文明と観光、観光学概論、グローバル観光論
研究分野 歴史学(近現代の日本、ユーラシア、異文化交流)、観光学、渡航医学
研究テーマ 旅と病の歴史、医・薬・食の歴史、シルクロードと観光(井上靖らを対象に)など
研究業績 著書
  • 『日本梅毒史の研究ー医療・社会・国家ー』(共著、思文閣出版、2005年)
  • 『異郷に生きるVI 来日ロシア人の足跡』(共著、成文社、2016年)
  • 「ウズベキスタンへの架け橋ーNU-OTI「シルクロード文化学習」論集ー」(編著、名古屋大学国際教育交流本部国際教育交流センター海外留学部門(発行者)、成文社(発行所)、2016年)
  • 「平成28年度 海外調査論集ー海外へ広がる教養科目ー」(編著、名古屋大学国際教育交流センター海外留学部門、2017年)
  • Meditsina i Inperiya: otkrytye porty, vooruzhennye sily i blagotvoritel'nost' v 19 - nachale 20 v.(編著、Tsentr gmanitarnykh initsiatsiv(Moscow-St.Petersburg)、2018年)
  • 『近代日本の歴史意識』(共著、吉川弘文館、2018年)
  • 『調査・実務・旅行のためのウズベク語会話(ロシア語付き)』(共著、成文社、2018年)
  • 『人口と健康の世界史』(MINERVA世界史叢書第8巻)(共著、ミネルヴァ書房、2020年)
論文・解説
  • 「ロシア人士官と稲佐のラシャメンとの“結婚”生活について」(共著、『言語文化論集』第23巻第1号、名古屋大学言語文化部国際言語文化研究科編、2001年)
  • 「ロシア人の見たロシア人士官と稲佐のラシャメンの“結婚”について」(共著、『言語文化論集』第23巻第2号、名古屋大学言語文化部国際言語文化研究科編、2002年)
  • 「不平等条約下における内地雑居問題の一考察ーロシア艦隊と稲佐における『居留地外雑居』問題-」(単著、『国際開発研究フォーラム』第27号、2004年)
  • 「明治初年における外国軍隊の『基地』経験ー長崎港のロシア艦隊借地問題をめぐってー」(単著、『日本文化研究』(東アジア日本学会/韓国)第17輯、2006年)
  • 「外国軍隊と港湾都市ー明治30年代における雲仙のロシア艦隊サナトリウム建設計画を中心にー」(単著、『スラヴ研究』第55号、2008年)
  • 「『医学の地理学』と帝国空間ーロシア艦隊による長崎への検黴の伝播をめぐってー」(単著、『ロシア史研究』第85号、2009年)
  • 「ロシア艦隊医が描いた幕末長崎の医学的風景ー〈亡国病〉としての梅毒と〈病める日本〉ー」(単著、『歴史学研究』第882号、2011年)
  • 「性を規定する病ー1890年代のロシア海軍における長崎の検黴問題と梅毒予防教育ー」(単著、『日本文化研究(東アジア日本学会/韓国)』第43輯、2012年)
  • 「軍隊における医療警察とコンタクト・トレーシングー慶応二年の魯西亜マタロス休息所規則をめぐってー」(単著、『年報近現代史研究』第6号、2014年)
  • 「郷土史と女性表象ー長崎における〈稲佐お栄〉ー」(韓国語)(単著、『日本空間』第16号、2016年)
  • 「〈彼らの病〉を予防するー国際政治・医学地誌・文明化の回路ー」(単著、『歴史の理論と教育』第145号、2016年)
  • 「海外研修一体型全学教養科目(NU-OTI)の試み」(共著、『名古屋大学国際教育交流センター紀要』第3号、2016年)
  • 「ウズベキスタン共和国における観光戦略ー大統領交代による改革の促進とその歴史的背景(1991-2019)ー」(共著、『日本国際観光学会論文集』第26号、2019年)
  • 「ウズベキスタン共和国における「観光」の国家的意義の変容ー新旧「観光法」の比較分析ー」(共著、『日本国際観光学会論文集』第27号、2020年)
  • 「2019年の歴史学界ー回顧と展望ー(近代ーロシア・東欧・北欧)」(単著、『史学雑誌』第129編第5号、2020年)
  • 「井上靖の中央アジアへの旅(1965)とソ連のインバウンド観光ー日本人知識人の”西域”への憧憬と社会主義プロパガンダとの間でー」(単著、『日本国際観光学会論文集』第28号、2021年)
  • 「〈マラズ〉からロシア帝国の〈梅毒〉へー一九世紀後半の中央アジアの風土性梅毒への医療実践と統計学・地誌学・民族誌学ー」(単著、『ロシア史研究』第106号、2021年)
  • 「感染症と個人・国家・地域ーCOVID-19の世界的流行の中で飯島報告・山岸報告を聞いてー」(単著、『歴史評論』第854号、2021年)
  • 「ウズベキスタンにおける新型コロナウイルス感染症対策」(共著、『日本渡航医学会誌』第16巻第1号、2022年)
  • 「適応する温泉への道案内―近世日本における温泉知の大衆化と『旅行用心集』―」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第23巻、2023年)
  • 「〈鉱泉〉をめぐる知の交差—ロシア海軍軍医スリューニンの「日本の鉱泉についての概観」(一八八八年)と〈温泉〉の近代化—」(単著、『専修史学』第74号、2023年)
  • 「タシケント市におけるロシア帝国の梅毒・VDをめぐる医療警察的監督―軍隊・非感染証明・接触者調査―」(単著、『ロシア史研究』第110号、2023年)
所属学会・団体 歴史学研究会、日本中央アジア学会、ロシア史研究会、日本国際観光学会、日本渡航医学会、日本医史学会、日本薬史学会、日本温泉科学会

メッセージ

人類は、古より旅をしてきました。それは、生きる場所を求めてのものでもあれば、信仰心からのもの、治療・療養のためのもの、また、他所の文明を自身で確かめ学ぶものでもありました。旅の目的はさまざまでしたが、その旅の合間には、その土地の景色を愛でたり、食を堪能したりと、憩いの時間もありました。また、旅により人はカネやモノ、また、情報と知を運び、旅は場所と場所とを、人と人とを繋ぐ役割も果たしてきました。

一方で、ヒトやモノが移動することで、今日の新型コロナウィルス感染症の世界的流行が示すように、病がある一定の場所を越えて広まり、人びとを脅かしてきたことも歴史的事実です。

私の研究の関心は、人が移動することにより生じることが歴史的にどのような意味を持つのかということにあります。特に、感染症の広まり(風土病から流行病へ)やそれに対する人間社会の対応のあり方、また、文化の異なる人びとが出会った時に生じる事象、そして、そうしたことを契機として生まれる知やその流通のあり方を、日本やスラヴ・ユーラシアにおける諸関係の中で論じてきました。

人の移動は、さまざまなことに影響を与えます。そこには光もあれば影もあります。持続可能な社会の実現が求められる今日、人の移動がもたらす影響の大きさに留意し、旅人も旅人を迎える人も、お互いとその出会いの場(「地域」)を敬えるような「観光」/「ツーリズム」のあり方を模索することが期待されます。