教員紹介

薮田先生写真

藪田 淳子YABUTA Junko

講師

  • 文化政策学部 芸術文化学科
E-mailアドレス j-yabuta@suac.ac.jp
キーワード:
アルブレヒト・アルトドルファー、ドイツ・ルネサンス、ドイツ人文主義、風景画、真景図、聖母像
出身地 兵庫県
学歴 神戸大学大学院 人文学研究科社会動態専攻 博士課程後期課程修了(2019年)
学位 博士(文学)(神戸大学、2019年)
経歴 独立行政法人日本学術振興会特別研究員DC2(2016年年度から2017年度)
神戸大学大学院人文学研究科研究員(2019年度)
兵庫県立美術館特別展等解説員(2019年度)
神戸大学文学部、大学院人文学研究科 非常勤講師(2019年度)
下関市立美術館学芸員(2020年度から2023年度)
神戸大学文学部、大学院人文学研究科 非常勤講師(2020年度)
下関市立大学経済学部非常勤講師(2021年度から2023年度)
静岡文化芸術大学 文化政策学部芸術文化学科 講師(2024年度から)
資格 学芸員
担当授業分野 美術史、視覚芸術論、芸術文化演習 ほか
研究分野 西洋美術史
研究テーマ 16世紀ドイツ美術、風景画、聖母像
研究業績 著書
  • 『イメージ制作の場と環境―西洋近世・近代美術史における図像学と美術理論』(共著、中央公論美術出版、2018年)
  • 『山水画と風景画のあいだ―真景図の近代』展図録(編著、下関市立美術館、2022年)
論文・解説
  • 「アルトエッティンクのマリア像について―その認識の変遷」(『美術史論集』第14号、2014年)
  • "Untersuchungen zum Chinesisches Haus im Park von Sanssouci"(独語論文「サンスーシ庭園の中国茶室に関する一考察」)(『美術史論集』第15号、2015年)
  • 「アルブレヒト・アルトドルファー《エジプト逃避途上の休息》について―ドイツ人文主義の影響を中心に」(『美術史』第181冊、2016年)
  • 「アルブレヒト・アルトドルファー《二人のヨハネ》について―資料紹介と人文主義的要素」(『美術史論集』第16号、2016年)
  • 「アルブレヒト・アルトドルファー《エジプト逃避途上の休息》の図像解釈―1500年前後の人文主義者による聖母崇敬とその影響」(『鹿島美術研究:年報別冊』第33号、2016年)
  • 「ドイツの風景画成立の人文主義的背景―コンラート・ツェルティス『恋愛四書』を中心に」(『美術史論集』第17号、2017年)
  • 「アルトドルファーの遺言書と財産目録をめぐって―画家の地位、教養、信仰」(『美術史論集』第17号、2017年)
  • 「原田直次郎《騎龍観音》《素尊斬蛇》における同時代のドイツ美術とベックリンの影響」(『美術史論集』第18号、2018年)
  • 博士論文「アルトドルファーと人文主義―聖母像と風景画を中心に」(神戸大学提出、2019年)
  • 「エーレトと高島北海の「植物細密図」」(『自然の秘密をさぐる―高島北海没後90年記念』展ブックレット、2021年)
  • 「コンラート・ツェルティス『愛の四書』調査報告」(単著『美術史論集』第21号、2021年)
  • 「ドイツの樹木の聖母像について」(『鹿島美術研究:年報別冊』第40号、2024年(予定))
所属学会・団体 美術史学会、明治美術学会、近世美術研究会、神戸大学美術史研究会
社会的活動 山口市美術展覧会審査員(2021年度から2023年度)

メッセージ

きれいな景色を見ると誰でも感動することがあるでしょう。それを描いた風景画は、いまでは美術でもっとも人気のあるジャンルですが、西洋ではルネサンスの終わりころまで登場しませんでした。私は16世紀のドイツ美術を中心に、キリスト教美術や風景画を研究しています。このころのドイツは宗教改革が起こってキリスト教美術が危機に陥り、同時に愛国主義が生まれてドイツの森や川を描く風景画が誕生しました。このころ西洋ではじめて純粋な風景画を描いたアルブレヒト・アルトドルファー(1480年頃から1538年)という画家に惹かれた私は、彼が活躍したドナウ河畔の古都レーゲンスブルクに留学して研究し、博士論文にまとめました。

東洋では西洋よりはるかに古く、紀元前から風景が美術表現の対象になってきました。日本でも古代から中国の影響を受けて山水画が描かれてきました。江戸時代には実際の景色を描く真景図が生まれ、それが明治時代に西洋の影響によって風景画になったという歴史があります。私は美術館の学芸員として、日本でこのように風景画が生まれた過程を探る展覧会を企画し、実際に多くの作品を集めて展示しました。

風景画だけでなく、普段は美術になじみがない方にとっても、西洋美術のイメージは、意外と身近なところで根付いています。きれいな風景画には日本と西洋の双方の伝統が息づいていますし、近代の観音像は西洋の聖母マリア像と関係があります。私のテーマであるキリスト教美術や風景画はいずれも、日本の文化や歴史と関わり、新たなイメージを生み出してきたのです。

美術作品はそれだけでも美しくて鑑賞できますが、別の作品との影響関係や歴史や社会との関係でとらえると、より魅力的になり、深い意味を語りかけてくれます。美術史を学ぶことで美術を味わう喜びを体験してみませんか。