教員紹介

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花澤 信太郎HANAZAWA Shintaro

教授

  • デザイン学部 デザイン学科(建築・環境領域)
  • 大学院 デザイン研究科
キーワード:
都市デザイン、建築デザイン、空間デザイン、風景とランドスケープ
出身地 千葉市
学歴 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了(2005年)
学位 博士(工学)(東京大学、2005年)
経歴
  • SHIN建築設計事務所(1992年から2006年)
  • 壱岐坂アーキテクツ、共同主宰(1998年から2006年)
  • 静岡文化芸術大学准教授(2009年)、教授(2014年から)
資格 一級建築士
担当授業分野 空間計画、建築設計演習Ⅰ、都市デザイン特論
研究分野 都市の空間構成
研究テーマ 日本近世の都市空間
研究業績 著書
  • 『60プロジェクトによむ日本の都市づくり』(共著、東京、朝倉書店、2011年)

論文・解説
  • 「東海道における直進する街路からのランドスケープ」(単著、『日本建築学会計画系論文集』、2015年)
  • 「近世東海道の四大橋からの景観に関する考察」(単著、『日本建築学会学術講演梗概集』、2014年)
  • 「東海道吉原宿における空間構成に関する考察」(単著、『日本建築学会学術講演梗概集』、2013年)
  • 「近世東海道における橋からの景観に関する考察」(単著、『日本建築学会学術講演梗概集』、2012年)
  • 「SUACの学習環境についての考察」(共著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第10巻、2010年)
  • 「前近代における運河と河川の方向設定に関する考察」(単著、『日本建築学会学術講演梗概集』、2010年)
  • 「関東における五街道の宿駅と街路の形態に関する考察」(単著、『日本建築学会学術講演梗概集』、2009年)
  • 「SUAC図書館の将来の可能性に向けての提言」(共著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第9巻、2009年)
  • “Shin, Gyo, So: The Traditional Concepts of Spatial Design in Japan”(HANAZAWA Shintaro, NISHIMURA Yukio, KITAZAWA Takeru, NAKAJIMA Naoto, Papers for the 11th IPHS Conference (CD-ROM), The International Planning History Society, 2004)
建築設計
  • N邸(2011年竣工)
  • 団欒の家(2006年)
  • H邸(2003年竣工)
  • 小倉台の家(2000年竣工)
  • 加曾利の家(2000年発表)
講演等
  • バウハウスの挑戦(浜松市美術館、2008年)
受賞歴
  • あたたかな住空間デザインコンペ入賞(2000年)
  • INAXデザインコンテスト入選(1995年)
所属学会・団体 日本建築学会、日本都市計画学会
社会的活動
  • 静岡県景観推進アドバイザー(2017から)
  • 掛川市景観審議会委員(2011年から2013年)
  • 浜松市地域公共交通会議委員(2011年から)
  • 浜松市新美術館基本構想策定委員会専門委員(2009年から2010年)
  • 浜松市立図書館協議会委員(2009年から2013年)
  • 国土利用計画浜松市計画策定庁内検討会 専門委員(2008年から2010年)
  • 浜松市都市計画マスタープラン策定検討会 委員(2007年から2010年)

メッセージ

専門分野は都市と建築のデザインで、近世日本の都市景観とランドスケープの関係を研究テーマとしています。

「振り返れば未来」とは、本学の初代学長であった木村尚三郎先生の言葉ですが、しばしば歴史を知る事によって未来への手がかりを得られる事があります。ジョージ・オーウェルが未来世界として描いた1984年に、ウイリアム・ギブスンは『ニューロマンサー』を発表して、今日のサイバースペースでの戦争を予言しました。その小説の第一章の舞台となっているのは、私の育った街である千葉市の港の近くです。ギブスンはなぜ訪れた事もない千葉市を舞台に選んだのか? それは没個性的かつ無機質な未来都市として設定すべき街に、千葉市がふさわしいと考えたからだと思います。小説の中に想像で描かれた未来の千葉市の風景が、あの頃実際に体験したシーンとリンクして思い出される、奇妙なデジャビュの様な感覚を覚える時、ギブスンの深い洞察力を感じずにはいられません。しかし千葉港の夜空は、ギブスンが描いた「空きチャンネルに合わせたTVの色」ではなく、川崎製鉄の溶鉱炉で照らし出され「赤く染まって」いました。現実は、時として想像を超えるのです。 

私がこれまでに見た偉大な建築もまた、想像を超える空間を持っていました。ギザの大ピラミッド、アテネのアクロポリス、ローマのパンテオン、イスタンブールのアヤ・ソフィア、パリのノートル・ダム、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ。これらの建築は、時間を超えて私たちに語りかけ、その空間はどんなにAIが発達しても、現実の中でしか得られない体験と感動を与えてくれます。

それでは、これらの偉大な建築はどの様に着想されたのでしょうか。これらに共通しているのは、突然それが現れたのではなく、習作ともいえる前段階の建築や、既にある建築の観察や分析を経て構想・建設されたという点です。建築は精神の着想と物理的な建設行為により形成されますが、今度は出来上がった建築空間が人間の精神に働きかけるのです。都市や建築は常に私たちの周りにあって心と体に語りかけている、この様な観点に立つと、たとえ小さな空間であっても、それは私たちに大きな可能性を提供してくれると言えるのではないでしょうか。また変化の激しい時代にあっても、都市や建築のデザインはその使用年数の長さから、過去から現在を経て未来へ向かう永い視点に立脚する事が大切であると考えられます。

私の研究テーマである日本の歴史的な都市空間の魅力の分析も、それらの結果を将来の日本の空間デザインに役立てる事を目標としています。また、大学の演習やゼミにおいては、古くからの歴史を持ちつつ現代の産業も発展している浜松市の都市や建築の可能性について学生達と検討し、具体的な形として考えています。日本の魅力や浜松の可能性について、一緒に考えてみませんか。