文化政策研究科
文化の力を形にし、社会に提供できる人材を
人間社会において、文化は人を動かし、束ねる大きなエネルギー源です。また、様々な示唆と知恵を人間に与えてくれる集合体でもあります。こうした文化の力を、人間の未来社会のために形にする営みが「文化政策」とも言えます。私たちは、文化・芸術創造や組織運営のあり方を探求し、「文化政策」をプロジェクトや政策として提案できるプロフェッショナルな人材を育成します。
文化政策研究科は、2010年度から日本で唯一、AAAE(Association of Arts Administration Educators)の正会員となっている大学院です。
現場からの学びを重視した実践的なカリキュラム
文化政策研究科では、専門的な文献研究だけでなく、実践の場でのフィールドワークや調査を重視し、文化・芸術のもつ可能性を可視化・具体化できる人材を育成していきます。院性は以下の3つの研究専門領域から1つ選び、領域横断的で学際的な研究を教員の指導のもと展開していきます。
アーツアンドカルチュラル マネジメント |
楽団、劇団、美術館などの民間および公立の施設運営、行政の文化政策、文化産業、文化イベントなどのあり方や可能性に関する研究を行います。 |
---|
地域政策マネジメント | まちづくりや地域活性化、コミュニティ政策、自治体改革、行政評価など、未来の地域に必要な活動や政策のあり方や可能性に関する研究を行います。 |
---|
グローカルスタディーズ | グローバル化の影響で、世界的規範や法、地域社会にどのような変化が生まれているのか、そして未来の持続可能な社会のあり方や可能性に関する研究を行います。 |
---|
カリキュラム構成の特色
文化政策研究科におけるカリキュラムは、修士論文作成に向けて以下の3つの段階で構成されています。
1.基礎科目
修士論文の構想づくりを進めるための「文化政策研究の方法」と、修士論文の仮説をフィールドワークや現場での調査を通して複数の教員と共に考察していく「アクションリサーチ基礎」「リサーチワークショップ」があります。2.基幹科目
各分野の概論的な知識を学び、学際的な系譜を学ぶための「領域横断科目」と、「アーツ アンド カルチュラルマネジメント」「地域政策マネジメント」「グローカルスタディーズ」に関係した専門的な内容を学ぶ「専門科目」があります。3.演習科目
演習Ⅰ(1年目)と演習Ⅱ(2年目)から構成されています。演習Ⅰは異なる教員による2つを履修し、領域横断的に学びます。演習Ⅱはさらに1名の教員の本格的指導のもと、論文を完成させていきます。また研究科内での発表会の機会もあります。修士論文テーマ例(例)
- 地域志向型劇場の可能性を課題-地域との関係性に着目として-
- 浜松地域における中小ピアノメーカーの軌跡-アトラスピアノ製造を事例に-
- 呉市例大祭の動態的研究-歴史的変遷と社会的役割の変化-
- バングラディッシュのナショナル・アイデンティティ形成
- バングラディッシュにおけるテロ対策の変遷-2016年のダッカテロ事件後の対応-
- 中国人アートマネジメント人材のキャリア-日本留学経験者に着目して-
- 芸術政策を巡る合意形成とローカルアーツエージェンシー-ポートランド市の芸術税とパブリックアートプログラムに着目して-
- 静岡県浜松市の在日ブラジル人第2世代のメンタルヘルスをめぐって
- トランスナショナルなコンテンツが持つ可能性-日本バラエティ番組に関する対立と調和-
- 社会的包摂とねむの木学園-宮城まり子の活動に着目して-
- 公立図書館運営に求められるパートナーシップ-中津川市の事例分析-
- 浜松市の自治会における規範維持と合意形成
修士論文は「静岡文化芸術大学学術リポジトリ」をご参照ください。
静岡文化芸術大学学術リポジトリ