教員紹介

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南田 明美MINAMIDA Akemi

講師

  • 文化政策学部 芸術文化学科
E-mailアドレス a-minamida@suac.ac.jp
キーワード:
シンガポール、アートマネジメント、文化政策、コミュニティ、社会包摂
出身地 大阪府東大阪市
学歴 神戸大学大学院国際文化学研究科 グローバル文化専攻 現代文化システム系 芸術文化論コース 博士課程後期課程
学位 博士(学術)(神戸大学、2020年)
経歴 【主な経歴】
  • 日本学術振興会特別研究員DC2(2016年から2018年)
  • Nangyang Technological University (Singapore) , Visiting Fellow(2016年から2018年)
  • 大阪音楽大学助手(2018年から2020年)
  • 日本学術振興会特別研究員PD(2020年から2022年)
  • 九州大学大学院芸術工学府非常勤講師(2020年から2022年)
  • 静岡文化芸術大学講師(2022年から)

詳細はresearchmapをご覧ください。
担当授業分野 「現代社会と芸術文化」、「文化施設の管理と運営」、「芸術文化演習ⅠB」など
研究分野 芸術社会学、文化政策論、アートマネジメント論
研究テーマ 日本とシンガポールのコミュニティに根差した芸術文化活動(アウトリーチ活動やコミュニティ・アート)
研究業績 著書
  • “The Art of Anti-Exclusion” (共著、Trafford Publishing, 2018年)
  • 『やってみよう!評価でひらく“社会包摂×文化芸術”ハンドブック』(共著、九州大学大学院芸術工学研究院附属ソーシャルアートラボ、2021年)
  • 『文化事業の評価ハンドブック:新たな価値を社会にひらく(SAL Book 3)』(共著、水曜社、2021年)
  • 『Kyushu University Asia Week 2021 シンポジウム「多様な文化と社会包摂の未来を考える」報告書』(共編著、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構、2021年)
論文・解説
  • 「原田えみ&太田玲奈 室内楽の愉しみ」(単著、プログラムノート、神戸市産業振興センター・ハーバーホール、2012年)
  • 「『教育』でも『聴衆開発』でもないエデュケーション・プログラム(EP)-コーミッシェ・オーパー・ベルリンの『オープン・デー』を事例に-」、(単著、『2011年度 神戸大学・学生派遣事業・インターンシップ調査事業 報告書 芸術文化環境の国際調査研究-神戸・ベルリン・別府を結ぶグローカル・ネットワークの構築に向けて-』神戸大学大学院国際文化学研究科、59-70、2011年)
  • 「『Home』を作る:シンガポールのグローバル化とコミュニティ・アート政策」、(単著、芸術舞台財団演劇人会議『利賀から世界へ SCOT Summer Season 2014&第1回利賀アジア芸術祭全発言・上演記録集』No.6、153-154、2014年)
  • 「国家威信が重視されたオーケストラの文化政策とアートマネジメントのジレンマ-シンガポール交響楽団を事例として-」、(単著、『文化経済学』第12巻第1号、1-13、2015年〈査読あり〉)
  •  “The Dilemma between Community Arts and Re-building Community in Singapore: Multiracialism, Civic/Civil Society and Nation Building”. (単著、Association of Cultural Economics International and Japan Association of Cultural Economics, Third Asian Workshop on Cultural Economics, 41-61, 2015年)
  • 「シンガポールのネイション形成プロジェクトとしてのコミュニティ・アート:InterculturalismかMultiracialismか」(単著、『利賀から世界へ SCOT Summer Season 2015&第2回利賀アジア芸術祭全発言・上演記録集』No.7、224-227、2015年)
  • 『知的文化会議「文化政策による中小都市の再生」-ドイツ・中欧と日本の対話 報告書』(共編著、神戸大学大学院国際文化学研究科藤野研究室、2015年)
  •  “Is Singapore a Post-Creative City? :Community Arts Projects by the Governmental Institutions after 2012”. (単著、International Conference on Cultural Policy Research, 2016年)
  • 「楽譜から自由になることで生まれた『音楽』を味わう」(単著、日本センチュリー交響楽団・ハローライフ(https://co.hellolife.jp/projects/the-work-music-project/)、2016年〈依頼あり〉)
  • 「参加者の同世代として見る<コミュニティ>としての「The Work」」(単著、 日本センチュリー交響楽団・ハローライフ(https://co.hellolife.jp/projects/the-work-music-project/)、2016年〈依頼あり〉)
  • 「転換期を迎えたシンガポールの文化政策―政府機関のコミュニティ・アート事業―」(共著、『文化政策研究』第9号、美学出版、129-147、2016年〈査読あり〉)
  •  “Issues in Realising the Singapore Community Arts Movements’ ‘Ground-Up Initiative’: A Case Study of Our Gallery @ Taman Jurong” (単著, International Conference on Cultural Policy Research, 2018年)
  • 「1959年から1965年までのシンガポールの文化政策―マラヤ文化の形成めぐる事例を中心に―」(単著、『文化政策研究』第11号、美学出版、81-104、2018年〈査読あり〉)
  • “ ‘Arts with the Community’ in Singapore Community Arts? – A Case Study of Our Gallery @ Taman Jurong” (単著、Cultural Economics, 16(1), 66-82, 2019年〈査読あり〉)
  •  “Overcoming Loneliness of Seniors: A Case Study of Ageless Theatre in Singapore”(単著、Arts Research Special Issue, Vol.1, Journal of Arts Research Centre, Ritsumeikan University, p. 111, 2020年) 
  • 「シンガポールのコミュニティにおける 芸術文化活動史 ―「ハートランダー」と「公民社会」の形成をめぐって―」(単著、神戸大学大学院国際文化学研究科 博士論文、2020年)
  • 世界初演 ラジオ・オペラのシナリオ アルベーナ・ペトロヴィッチ・ヴラチャンスカー(音楽)/マティーアス・テーオドル・フォークト(シナリオ、ミザンセーヌ)著作《青いピアノ》、第23回国際ピアノ音楽祭 ppIANISSIMO (ブルガリア/ソフィア放送協会)プログラムノート、シナリオ日本語訳担当(原文、英語)〈依頼あり〉)
  • Nurturing “Intermediaries” through Music and Arts Management: A Case Study of Klongtoey D-Jung (単著、Mekong Cultural Hub、2021年〈依頼あり〉)
  • 「日本における在留外国人を対象とした文化政策の現状と課題」(共著、『北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編』、72(1)、95-110、2021年)
  • 「近年のシンガポール外国人労働者による詩の運動:声を挙げ、社会を変えていくこと」『Kyushu University Asia Week 2021 シンポジウム「多様な文化と社会包摂の未来を考える」報告書』(単著、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構、2022年)
  • 「不安定な統合:ネイション形成を超えた芸術と文化の多様性」(日本語翻訳)
    『Kyushu University Asia Week 2021 シンポジウム「多様な文化と社会包摂の未来を考える」報告書』(共訳、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構、2022年)
  • 浜松市におけるアートを通した多文化共生の試み:浜松国際交流協会を中心にして」(共著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第23巻、2023年
  • 「「不可視な排外主義」を可視化するアートの可能性-シンポジウム「多様な文化と社会包摂の未来を考える」の問題提起」(共著、『インターカルチュラル』第21号、pp.219-229、2023年
作品・プロジェクト
  • 「スプリング・コンサート」(企画・制作・演奏、淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物園」、2012年)
  • 「春のミニ・コンサート」(企画・制作・演奏、淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物園」、2013年、2015年)
  • 「シャンソンの夕べ」、(企画・演奏、関西テレビ主催「ふぁんたんらいぶ」、2014年)
  • 「ミュージカルの世界」(企画・制作・演奏、関西テレビ主催「ふぁんたんらいぶ」、2015年)
  • 高齢者に対するアウトリーチ活動(企画・制作・演奏、介護老人保健施設・アロンティアクラブ、2015年度)
  • 高齢者に対するアウトリーチ活動(企画・制作・演奏、西宮市社会福祉協議会、西宮市春風公民館、2015年度)
  • 「秋のミニ・コンサート」(企画・制作・演奏、淡路島ワールド・パークおのころ、2015年)
  • 「春のコンサート」(企画・制作・演奏、神戸布引ハーブ園、2016年4月)
  • 「音楽カフェ第1弾ワンコインコンサート おと×はな~心を紡ぐ、家族を繋ぐ~」(企画・制作・演奏、マリンデイ西宮、2019年9月)
  • 「秋の彩コンサート@奈の音~あなたに音楽の花束を~」(企画・制作・演奏、「はならぁと2020」ゲストハウス奈の音(奈良県宇陀市)、2019年)
  • 「おとはなpresents 知ろう!聴こう!歌おう! 春風いきいきコンサート」(企画・制作・演奏、西宮市社会福祉協議会、西宮市春風公民館、2020年)
  • 兵庫県西宮市施設Aにおける高齢者を対象とした音楽ワークショップ(企画、演奏、2020年8月から2021年7月)
その他の活動
  • センチュリー・ユース・オーケストラ、演奏・運営補助(とくに、アウトリーチプログラムの開発)、(2007年6月から2013年3月まで、センチュリ―・オーケストラハウス)
  • 任意団体「おとはな」(音楽・花文化に関するアウトリーチ活動)
  • "豊中市立文化芸術センターにおけるアウトリーチコンサートの企画・制作実習(2018年から2020年3月まで、大阪音楽大学ミュージックコミュニケーション演習の一環として、年4回のロビーコンサートの企画・制作に従事)
  • 産学官共同事業「水素プロジェクト・異色コラボの世界」(大阪府大阪市)
  • 豊中市立文化芸術センターにおける有料コンサートの企画制作「はて?さて?サティ⁉:声優が語るとある作曲家の一日」
  • 産官学共同事業「水素プロジェクト・時空の音楽」(大阪府堺市)
  • 「ハマルおんがくプロジェクト」(浜松国際交流協会、JICA浜松デスク、岐阜聖徳学園大学 宮本賢二朗研究室)
  • 「ラララりずむクラブ」(浜松国際交流協会、JICA浜松デスク)
最新の芸術に関わる研究/活動は、researchmapをご覧ください。
所属学会・団体 日本文化政策学会、日本アートマネジメント学会、文化経済学会〈日本〉、日本芸術音楽マネジメント学会、日本国際文化学会、日本移民政策学会、東南アジア学会、日本マレーシア学会、日本音楽学会、Inter-Asia Cultural Studies Society
社会的活動
  • 日本センチュリー交響楽団・ハローライフ主催「The Work」の依頼調査・報告
  • 「阪急宝塚線ミュージック駅伝MOT!」実行委員会委員(2018年12月から2020年3月)
  • シンガポールのコミュニティ・アート団体「Arts Wok」が大阪のアートNPO団体を視察した際のコーディネートならびに通訳(2020年2月10日から2020年2月13日)
  • 日本文化政策学会 第14回年次研究大会プログラム委員(2020年4月から2021年3月)
  • 文化経済学会〈日本〉2021年度大会オンライン会場事務局長(2021年6月)

メッセージ

企業へのメッセージ

専門は、アートマネジメント・文化政策です。音大出身者であることを活かしながら、周縁化された人々と共に行うコミュニティ・アートやアウトリーチ活動について、日本とシンガポールを比較しながら研究してきました。近年は、どのようにすれば、「芸術を通して皆が憩える広場」を作れるかを、「アート×ケア×多文化共生」の観点から考えています。
具体的には、2022年に浜松に移住してから、浜松市内の外国人集住地区で、様々な機関と連携しながら音楽を通した文化的コモンズの形成に関する実践研究を行っています。一方、長期休暇を利用して出かけるシンガポールでは、移民労働者の声を表した芸術作品や運動について調査研究をしています。
大学院時代に培ったインターカルチュラルな視点を忘れないように、日本と東南アジアの芸術家や団体の「懸け橋」や「伴走者」になるための活動(通訳やコーディネーター、ピアとなって活動内容を聞きとり、文章に書き起こすこと)も行っています。

学生・受験生へのメッセージ

みなさんは、芸術や文化に興味があって、きっと本学を考えているのだろうと思います。しかし、いままでに「アートマネジメント」という言葉を聞いたことがありますか?アートマネジメントとは、ざっくり言えば、「芸術と社会の縁結び」をすることです。
「うーん、部活動や個人で芸術活動をしてきたから芸術文化は身近だけど、社会って大きすぎるな」と思われるかもしれません。しかし、みなさんも、社会の一員です。だから、そんなに難しいことではなく、自分の当事者性をはじめの一歩とすればいいのです。
たとえば、私がアートマネジメントや文化政策の研究をしている背景には、幼少時から20年間続いた介護体験があります。いわゆるヤングケアラーでした。一般的にヤングケアラーが学校社会に適合していくために、いろいろな「嘘」をつかないといけないように、私もそのように生きていました。しかし、やはり社会生活と家での日常生活の差に苦しみを覚えたのです。そこで助けてくれたのが音楽(トランペットの演奏)とシンガポール人との交流でした。その経験を糧に、日本と東南アジア(とくにシンガポール)を往復して、「どうしたら芸術を通してみんなが憩える場所が創れるか」「どうしたら、社会的弱者になってしまった人が、芸術を通して声を挙げやすくなるのか」について研究しています。
みなさんは、何に「もやもや」していますか?