教員紹介

田中 啓TANAKA Hiraki

教授

  • 文化政策学部 文化政策学科
  • 大学院 文化政策研究科
E-mailアドレス hiraki@suac.ac.jp
出身地 アメリカ合衆国デンバー(コロラド州)
学歴 東京大学大学院経済学研究科修士課程(1995年)
Fels Center of Government,University of Pennsylvania(2001年)
政策研究大学院大学博士課程単位取得退学(2006年)
学位 修士(経済学)(東京大学、1995年)
Master of Government Administration(MGA)(University of Pennsylvania, 2001)
経歴 三菱総合研究所(1986年)
ペンシルバニア大学客員研究員(2001年)
富士通総研(2003年)
静岡文化芸術大学助教授(2004年)、准教授(2007年)、教授(2011年から)
担当授業分野 行政学、地方行政論、地方財政論、政策評価論(大学院) など
研究分野 行政管理論、行財政改革、評価研究(プログラム評価、政策評価、行政評価)
研究テーマ 行政評価の効果検証、地域における評価の活用、人口減少時代のおける行政のあり方
研究業績 著書
  • 『行政評価』(共著、東洋経済新報社、1999年)
  • 『公務改革の突破口』(共著、東洋経済新報社、2008年)
  • 『自治体評価の戦略-有効に機能させるための16の原則』(単著、東洋経済新報社、2014年)
論文・解説
  • "Performance Measurement in the U.S. Public Sector"(『日本評価研究』第1巻第2号、2001年)
  • 「アメリカのGPRA―10年の評価と日本への含意―」(『Research Paper:Public Series』No.1、富士通総研、2004年)
  • 「都市自治体の評価:本格普及から10年後の実態」(『日本評価研究』第8巻第1号、2008年)
その他の活動
  • 地方自治体における行政評価制度構築の支援
受賞歴
  • 2001 Fels Award for Performance Measurement
  • 日本評価学会奨励賞(2004年)
所属学会・団体 日本行政学会、日本評価学会、公共政策学会、ASPA(American Society for Public Administration)、AEA(American Evaluation Association)
社会的活動 文部科学省・政策評価に関する有識者会議委員(2004年から2015年)
文部科学省・科学技術・学術審議会臨時委員(2009年から)
内閣府子ども・子育て新システム検討会議基本制度ワーキングチーム構成員(2010年から2012年)
静岡県企業局経営評価委員会委員(2005年から2016年)
静岡県本人確認情報保護審議会委員(2006年から)
掛川市行財政改革審議会会長(2009年から2011年)
森町行財政改革推進委員会会長(2005年から2007年)
箱根町行財政改革有識者会議座長(2014年から) など

メッセージ

理論と実践の融合

私の専門領域をひとことで表現すれば「行政機関のための経営学」です。民間企業にとって経営学が存在するように、行政機関にとっても、その組織や業務をより良く運営するための理論や手法が不可欠です。「行政機関」と書きましたが、公営企業、公共施設、公益法人、NPO、NGOなど、社会的な目的のために活動している機関は、全て私の研究対象です。

中でも特に力を入れて研究しているのが「公共部門における評価」です。政策評価や行政評価とも呼ばれ、近年、国や地方自治体が熱心に取り組んでいます。行政機関が実施した施策がその目的を達成したかどうかは、特別な努力を払わなければ正確に把握することができません。そのための活動が評価なのです。

評価の先進国であるアメリカでは、この分野では少なくとも50年程度の研究と実践の歴史があります。一方、日本の公共部門が評価の実践を開始したのは10数年前のことに過ぎず、評価に対する研究はさらに遅れを取っています。日本の評価はまだヨチヨチ歩きなのです。

こうした中で、行政の現場では、理論を無視ないしは誤解して評価を実施する例が目立ちます。どんなに頑張ってこのような評価を実施しても、有意義な結果はほとんど得られません。一方、研究者も評価の実践状況を批評するばかりで、現場に有用な研究成果を示すことができていません。

私は大学卒業後に民間シンクタンクのコンサルタント(研究員)としてキャリアをスタートさせましたが、その後、国内外の3つの大学院で学ぶ機会を経て、本学に赴任しました。 これらの経験から痛感しているのは、「理論なき実践の危うさ」と「実践を無視した理論の虚しさ」です。私が身を置くような実証的な学問領域においては、理論と実践のバランスの取れた融合が必要であり、私はずっとこのことに取り組んできました。

本学で学ぶ(あるいは、学ぶことを希望する)皆さんは、具体的な事例だけでなく、物事を抽象的、普遍的に記述した理論にも是非関心を持って下さい。理論には、社会のためになるものや、面白いものもあることにきっと気が付くと思います。一方、自治体やその他の公共的な機関で活躍されている方で、評価について悩みを抱えている方は、是非ご相談下さい。これまでの研究成果を踏まえて、できる限り具体的なアドバイスを差し上げたいと思います。また共同研究等のご提案も歓迎いたします。