教員紹介

佐藤 亜矢子SATO Ayako

講師

  • デザイン学部 デザイン学科
E-mailアドレス:a-sato@suac.ac.jp
ホームページURL:https://asiajaco.com
キーワード:
現代音楽、電子音響音楽、アクースマティック音楽、サウンドデザイン、サウンドスケープ
学歴 東京藝術大学大学院音楽研究科 音楽専攻音楽文化学研究領域 博士後期課程 修了(2019年)
学位 博士(学術)(東京藝術大学、2019年)
経歴 東京藝術大学大学院音楽研究科 専門研究員(2019から2021年)
玉川大学芸術学部アート・デザイン学科 非常勤講師(2019から2025年)
東京電機大学工学部第二部 非常勤講師(2019から2021年)
大阪芸術大学通信教育部音楽学科 非常勤講師(2019から2025年)
尚美ミュージックカレッジ専門学校 非常勤講師(2022から2024年)
静岡文化芸術大学デザイン学部 講師(2025年から)
担当授業分野 サウンドデザイン、サウンドデザイン演習、領域専門演習
研究分野 現代音楽、電子音響音楽、サウンドデザイン
研究テーマ
  • 20世紀後半以降のテクノロジーを用いた現代音楽、電子音響音楽作品研究とその実践・演奏について
  • 場所・空間・環境を通して音響芸術表現を考える
研究業績 著書
  • 『アクースマティック!』(共著、engine books – difference、2021年)
論文・解説
  • フランスとスペインでのアクースモニウム・コンサート参加報告―Festival Futura 2023とEncontres Electroacústics 2023について(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.15、No.3、2023年)
  • アクースモニウム演奏による電子音響音楽祭 Festival Futura 2022 参加報告(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.14、No.3、2022年)
  • リュック・フェラーリ《トートロゴス III》遠隔演奏の実践(共著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.12、No.3、2020年)
  • TAMA Music festival 2020 開催報告(共著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.12、No.2、2020年)
  • リュック・フェラーリ作曲《少女たちとほとんど何もない》研究(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.11、No.1、2019年)
  • リュック・フェラーリ《ほとんど何もない》作品群における電子音響音楽(単著、東京藝術大学博士論文、2019年)
  • リュック・フェラーリ作曲《ほとんど何もない第二番》をめぐる一考察(単著、『東京藝術大学音楽文化学論集』第7号、2017年)
  • “A Study on Presque rien No. 2 composed by Luc Ferrari” (単著、Emille: the Journal of the Korean Electro-Acoustic Music Society Vol.15、2017年)
  • 韓国での電子音響音楽会議・音楽祭への参加報告(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.9、No.3、2017年)
  • リュック・フェラーリ作曲《ほとんど何もない第二番》における他作品との相関(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.8、No.4、2017年)
  • リュック・フェラーリ《ほとんど何もない》作品群探究に向けて(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.7、No.3、2015年)
  • コース・メジャンの春景色を探しに―リュック・フェラーリの映画と音楽をめぐる一試論(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.6、No.4、2015年)
  • 逸話と逸脱の音楽―リュック・フェラーリ《ほとんど何もない第一番》分析を通じて―(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.5、No.4、2014年)
  • リュック・フェラーリ、逸脱する電子音響音楽―《ほとんど何もない第一番》を中心に―(単著、東京藝術大学修士論文、2013年)
  • リュック・フェラーリの電子音響音楽作品《ほとんど何もない第一番》に見る逸話的諸相(単著、『先端芸術音楽創作学会会報』Vol.4、No.4、2013年)
研究業績(作品・プロジェクト)
【音楽作品発表(海外)】
  • Festival Futura 国際電子音響音楽祭での電子音響音楽作品上演、招待講演(フランス 2024年、2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2016年、2015年、2012年)
  • ICMC (International Computer Music Conference)国際学会での電子音響音楽作品上演(韓国 2024年、アイルランド 2022年、アメリカ 2019年、韓国2018年、アメリカ2015年、ギリシャ2014年、オーストラリア2013年)
  • NYCEMF (New York City Electroacoustic Music Festival)国際電子音響音楽祭での作品上演(アメリカ 2024, 2023, 2019, 2016, 2014, 2013年)
  • WOCMAT (Workshop on Computer Music and Audio Technology)国際学会での電子音響音楽作品上演(台湾2023年、2016年、2014年、2013年、2012年)
  • Encontre Internacional Compositors: Encontres Electroacústics 音楽祭でのコンサート監修・演奏・電子音響音楽作品上演(スペイン 2023年、2021年)
  • SMC (Sound and Music Computing Conference)国際学会での電子音響音楽作品上演(フランス 2022年、イタリア[オンライン]2020年、キプロス2018年、ドイツ2016年、ギリシャ2014年、スウェーデン2013年)
【音楽作品発表(国内)】
  • CCMC(Contemporary Computer Music Concert)コンサートでの電子音響音楽作品上演(東京 2024年、2018年、2017年、2016年、2014年、2013年、2012年、2011年、2008年京都2023年n、オンライン2022年、兵庫2006年)
  • Born Creative Festival(ボンクリ・フェス) 「電子音楽の部屋」での電子音響音楽作品上演(東京 2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2017年)
  • 電子音響ピープルプロジェクト コンサートでの電子音響音楽作品上演(東京2024年、2016年)
  • 日本電子音楽協会 定期演奏会、特別演奏会での電子音響音楽作品上演 (東京2022年、オンライン 2020年、千葉2018年、愛知2014年、東京2013年)
  • AOBANE -電子音響音楽の現在形-コンサートでの電子音響音楽作品上演 (宮城2024年)
  • ミッドジャパン音の芸術祭 2024「表現の多様性を感じる時」 コンサートでの電子音響音楽作品上演 (愛知 2024年)
【展覧会】
  • 「なんでもない」音楽-電子音響音楽のひととき 『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』展 展覧会関連音楽イベントの監修・演奏 (渋谷区立松濤美術館2023年)
  • 保良雄 個展『種子だけに趣旨が -this ground is still alive in Jingumae』 サウンド・ディレクション (ライトシード・ギャラリー 2023年)
  • 『新しいエコロジーとアート』展 サウンド・インスタレーション《線は密めく》 (東京藝術大学大学美術館 2022年)
  • Nature and me 『越後妻有アートトリエンナーレ』 サウンド・ディレクション(新潟 ぶなが池2015年)
  • 『アートと音楽 共感覚実験劇場』展 サウンド・インスタレーション《meeting(box)》、サウンド・インスタレーションとパフォーマンスによる《meeting (mixed media)》 (東京藝術大学大学美術館 2013年)
  • 『藝大アーツ イン 東京丸の内』展 工芸(漆)作品展示のサウンド・ディレクション (東京 丸の内ビルディング2011年)
受賞歴 Seoul Independent Animation Festival、音・音楽特別賞(韓国、2022年)
International UPISketch Composition Competition、カテゴリーC 第2位(フランス、2022年)
International Destellos Competition、一般審査第3位、Foundation Destellos(アルゼンチン、2022年)
Korea Independent Animation Film Festival、音・音楽特別賞、審査員特別賞(韓国、2019年)
東京藝術大学大学院アカンサス音楽賞(2014年)
International Destellos Competition、アクースマティック音楽部門The honorary mention、Foundation Destellos (アルゼンチン、2013年)  
Prix Presque rien第3位、Association Presque Rien(フランス、2013年)
International Taiwan Electroacoustic Music Composition Award、The honorary mention、WOCMAT(台湾、2013年)
Contemporary Computer Music Concert、佳作、音と音楽・創作工房116 (日本、2012年)
所属学会・団体 日本音楽学会(2020年から)
国際音楽学会(2017から2020年)
国際コンピュータ音楽協会 International Computer Music Association (ICMA)(2013年から)
先端芸術音楽創作学会(2012年から)
日本電子音楽協会(2011年から)
社会的活動 日本電子音楽協会 理事(2024年から)
Electroacoustic Music Studies Asia Network (EMSAN)編集委員(2024年から)
TPMC(Tout Pour la Musique Contemporaine)作曲コンペティションpetites formes 審査員(2022、2024年)
先端芸術音楽創作学会 運営委員(2015年から)

メッセージ

「サウンドデザイン」とは何でしょうか。一般的には、映画やアニメーションといった映像作品、テレビ・ラジオ番組、ゲーム、パフォーマンスなどに効果音を中心としたサウンドをつける技術や実践のことを指す場合が多いようです。しかし、私はこの用語をもっと広い意味で捉えています。

  • 芸術作品の一部分としての音・音楽について考え、創造すること:美術領域の作品や展示において、音・音楽の存在が重要である場合は多々あります。サウンド・インスタレーションはもちろんのこと、絵画や工芸や写真や建築と音・音楽が共存することで成立する作品や展覧会やプロジェクトもあります。そこでどのように音・音楽が介入するのかを検討し、議論し、場を創造することも、サウンドデザインのひとつであると思います。
  • 身のまわりにある/ない音・音楽について考え、創造すること:これはサウンドスケープ・デザイン、あるいはサウンドスケープ・コンポジションに繋がります。我々が暮らす世の中は、あまりにも多くの音・音楽で溢れています。人為的に創り出されたものもあれば、そうでないものもあります。過去には聞こえていたけれど、現在は我々の耳に届かなくなってしまった音・音楽もあります。そうしたさまざまな音・音楽を通して環境・社会について考え、快適な時間・空間を音・音楽によって設計することも、重要なサウンドデザインではないでしょうか。
私は作曲家、サウンドアーティストとして活動しています。リズム・メロディ・ハーモニーが音楽の三要素といわれますが、世の中にはそれを飛び越えた表現が多々あり、楽器で演奏するための楽譜を書く仕事ばかりが「作曲」ではありません。むしろ、私は上述した「サウンドデザイン」的なアプローチでの作曲やサウンドに関わる芸術作品・場の制作を主に行っています。環境音、現実音、物音、会話、雑音… どのような音も作品の素材になり得ます。我々を取り巻く環境に耳を傾け、さまざまな場所で出会った音を拾い集め(録音し)、それらを素材とした音楽作品やサウンド・インスタレーション制作、映像作品のサウンド制作、展覧会でのサウンド・ディレクションなどをしています。場所・空間・環境に関心をもっており、例えばそれはサウンドスケープ、空間音響といったキーワードに結びつきます。

学術的な側面からいいますと、現代音楽・電子音響音楽が専門分野です。とりわけ、リュック・フェラーリというフランスの作曲家が主たる研究題材です。フェラーリはピアノやオーケストラといった器楽のための楽曲のみならず、電子音響音楽、サウンド・インスタレーション、ラジオドラマ(ヘールシュピール)、映画など、幅広い領域の創作を手がけました。いつもその創造の根底には、ユーモアと、常識にとらわれない自由さと、新しい試みへの好奇心がありました。私は、そのような機知に富んだ彼の精神に感銘を受け、研究・創作活動をしています。固定観念にとらわれず、表現の可能性に一緒に挑戦していきましょう。