教員紹介

舩戸 修一FUNATO Shuichi

教授

  • 文化政策学部 文化政策学科
キーワード:
農村社会学、環境社会学、中山間地域、人口減少、過疎、限界集落
出身地 大阪府
学歴 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得退学(2000年)
学位 修士(学術)(東京大学、1997年)
経歴 日本学術振興会 特別研究員(2000年から2004年)
東京大学科学技術インタープリター養成プログラム 研究員(2006年から2009年)
法政大学サステイナビリティ研究教育機構 研究員(2009年から2011年)
静岡文化芸術大学講師(2011年)、准教授(2015年)、教授(2020年から)
資格 専門社会調査士(2005年)
担当授業分野 地域社会論、社会調査法、質的調査法、社会学概論
研究分野 地域社会学、農村社会学、環境社会学
研究テーマ 中山間地域(過疎農山村)の現状についての社会学的な調査と分析研究
研究業績 著書
  • 『環境社会学事典』(共編著、丸善出版、2023年)
  • 『変容する都市のゆくえ:複眼の都市論』(共著、文遊社、2020年)
  • 『食の6次産業化と地域振興』(共著、春風社、2015年)
  • 『食と農のコミュニティ論――地域活性化の戦略』(共著、創元社、2013年)
  • 『環境と社会』(編著、人文書院、2012年)
  • 『キーワード地域社会学』(共著、ハーベスト社、2010年)
  • 『用水のあるまち――東京都日野市・水の郷づくりのゆくえ』(共著、法政大学出版局、2010年)
論文・解説
  • 「地域におけるバス交通の行方――浜松市と全国の事例から」(単著、『支援』第11号、生活書院、2021年)
  • 「実家や集落との関わりに対する『他出子』本人の意識――浜松市天竜区佐久間町の調査から」(単著、『社会と調査』第26号、一般社団法人社会調査協会、2021年)
  • 「『他出子』の出身集落への関わり意識――浜松市天竜区佐久間町のX集落の調査から」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第21巻、静岡文化芸術大学、2021年)
  • 「『関係人口論』の地域社会学的考察――浜松市天竜区佐久間町の集落調査を踏まえて」(単著、『地域社会学会会報』第219号、地域社会学会、2021年)
  • 「『地域おこし協力隊』を『地域社会学』から考察する意義」(『地域社会学会会報』第213号、2019年)
  • 「『他出子』の帰郷をめぐる親世代の意識の交錯――浜松市天竜区佐久間町を事例として」(『東海社会学会年報』第11号、2019年)
  • 「NHK『明るい農村(村の記録)』制作過程と『農業・農村』へのまなざしの変容――番組制作者に対する聞き取り調査をもとに」(共著、『マス・コミュニケーション研究』第85号、日本マス・コミュニケーション学会、2014年)
  • 「戦後ラジオ・テレビ放送における『農村』表象の構築プロセス――媒介者としてのNHK農林水産通信員に注目して」(共著、『年報社会学論集』第27号、関東社会学会、2014年)
その他の活動
  • 日本村落研究学会 理事(2021年から現在)
  • 地域社会学会 理事(2022年から現在)
  • 地域社会学会 編集委員会委員長(2022年から現在)
  • 関東社会学会 専門審査委員(2022年から現在)
所属学会・団体 日本社会学会、日本村落研究学会、地域社会学会、環境社会学会など
社会的活動
  • 地静岡県食と農が支える豊かな暮らしづくり審議会 委員(2021年から現在)
  • 静岡県男女共同参画会議 委員(2021年から現在)
  • 静岡県中山間地域等直接支払制度評価委員会 委員(2017年から現在)
  • 静岡県環境保全型農業直接支払制度評価委員会 委員(2016年から現在)
  • 浜松市「中山間まちづくり事業」公開審査会 審査委員(2014年から現在)

メッセージ

「農山村」を社会学的に考える

現在、中山間地域(過疎農山村)は、一次産業(農林業)従事者の後継者不足、農産物価格の低迷、耕作放棄地の増加、野生動物による被害、過疎や限界集落による集落機能の低下など様々な問題を直面しています。そのうえ市町村合併や地方財政の悪化に伴い、小中学校や病院の統廃合、公共交通の廃止など行政サービス削減によって住民同士の共同生活や相互扶助のうえに成り立ってきた農山村の暮らしが揺らいでいます。

浜松市も、このような問題と無縁ではありません。現在の浜松市は、2005年7月に12市町村が合併して新しく誕生した市です。この合併した地域には、以前から過疎問題を抱えていた農山村も含まれています。そのため浜松市は「政令指定都市」になりましたが、農山村の維持は喫緊の課題です。

昨今、農山村では65歳以上が地域住民の半分以上を占める集落を「限界集落」と呼び、その消滅可能性を煽る論調が見られます。そのため「人口減少 ⇒ 集落消滅」という社会解体図式が当然視されています。

しかし、そのような集落には、「他出子」――そこから転出した子どもたち――が実家に通い、親の生活支援をしている現実が見うけられます。このように集落を超えた「家族関係」が維持されていると、人口減少や高齢化が進んでも、そう簡単に集落は消滅しないと思われます。

私は「社会学」を専門にしています。社会学は「人と人とのつながり」や「人間と人間の関係」から社会を考えていきます。人間は関係で生きています。地域の将来を人口や高齢化率で判断するのではなく、集落を超えて維持されている「家族関係」から考えることが大切です。