教員紹介

上山 典子KAMIYAMA Noriko

教授 文化政策研究科長

  • 文化政策学部 芸術文化学科
  • 大学院 文化政策研究科
E-mailアドレス n-kami@suac.ac.jp
キーワード:
19世紀、西洋音楽、リスト、ピアノ編曲
出身地 東京都
学歴 東京芸術大学音楽学部楽理科 卒業
東京芸術大学音楽研究科音楽学専攻 博士課程修了
学位 博士(音楽学)(東京芸術大学、2009年)
経歴 日本学術振興会 特別研究員DC1(2007年度から2009年度)
東京芸術大学音楽学部楽理科 教育研究助手(2010年度)
沖縄県立芸術大学音楽学部音楽学専攻 助教(2011年度から2013年度)
東邦音楽大学大学院 非常勤講師(2014年度から)
静岡文化芸術大学講師(2014年度から2016年度)、准教授(2017年度から2022年度)、教授(2023年度から)
担当授業分野 音楽史、音楽文化論、文化と芸術、(大学院)音楽研究特講 ほか
研究分野 西洋音楽史
研究テーマ フランツ・リスト、ピアノ編曲、新ドイツ派
ヨーロッパにおける編曲の文化史、19世紀ヨーロッパの音楽祭
研究業績 著書
  • 『音楽表現学のフィールド2』(共著、東京堂出版、2016年)
  • 『ワーグナーシュンポシオン』(共著、アルテスパブリッシング、2018年)
  • 『《悪魔のロベール》とパリ・オペラ座――19世紀グランド・オペラ研究』(共著、上智大学出版、2019年)
  • 『音楽を通して世界を考える――東京藝術大学音楽学部楽理科土田英三郎ゼミ有志論集』(共編著、東京藝術大学出版会、2020年)
  • 『「新ドイツ派」の成立――リストと彼の仲間たちによる進歩的音楽集団』(単著、春風社、2022年)
翻訳
  • ロイター校訂、ウィーン原典版『リスト 愛の夢』(音楽之友社、2013年)
  • ツィーグラー校訂、ウィーン原典版『リスト コンソレーション』(音楽之友社、2013年)
  • ウーバー校訂、ウィーン原典版『リスト 超絶技巧練習曲』(音楽之友社、2015年)
論文・雑誌記事等
  • 「クレッチュマーの音楽解釈学――『楽堂案内』よりブルックナーの交響曲解説を中心に(「ブルックナー 交響曲第4番」試訳付)」(『東邦音楽大学・東邦音楽短期大学研究紀要』第15号、2006年)
  • 「リストの《ベートーヴェンの交響曲 ピアノ・スコア》考」(『音楽表現学』No.6、2008年)
  • 「アルノルト・シェーリングのベートーヴェン=シェイクスピア解釈――《弦楽四重奏曲》嬰ハ短調 作品131=『ハムレット』」(『東邦音楽大学・東邦音楽短期大学研究紀要』第18号、2009年)
  • 「『新ドイツ派』vs.『旧ドイツ派』の真相――『新ドイツ派』とはなにか」(NHK交響楽団機関誌『フィルハーモニー』第81巻 第4号、2009年)
  • 「アウグスト・ゲレリヒの日記にみるリストのピアノ教授法」(『音楽表現学』No.9、2011年)
  • 「リストの『ベルリオーズと彼のハロルド交響曲』論文(1855年)――音楽(交響曲)と文学(哲学的叙事詩)統合の理念」(『東邦音楽大学・東邦音楽短期大学研究紀要』第20号、2011年)
  • 「ブレンデルによるベルリオーズ=リスト=ヴァーグナーの『三人組』概念創出と『新ドイツ派』提唱の戦略」(『東京芸術大学音楽学部紀要』第36集、2011年)
  • 特集「リストの音楽世界」リスト生誕200周年記念「ピアニスト引退への道のり――リストが追い求めた交響曲創作の野心――」(札幌音楽家協議会機関誌『Concorde』第54号、2011年)
  • 「オーケストラツィクルスとしてのリストの12の交響詩――詩的素材に基づく配列と調的関連性」(『音楽学』第57巻 1号、2011年)
  • 「進歩派におけるリストの交響詩評価」(『沖縄県立芸術大学紀要』第20号、2012年)
  • 「ヴァーグナーのパリ演奏会(1860年)とフランスの批評家たち」(沖縄県立芸術大学音楽学研究誌『ムーサ』第13号、2012年)
  • 「文化現象としての『新ヴァイマル協会』(1854-67年)――芸術家と芸術愛好家たちによる団体」(『沖縄県立芸術大学紀要』第21号、2013年)
  • 「フランツ・ブレンデルの『新ドイツ派』とその概念の変遷」(『音楽学』第59巻 第1号、2013年)
  • 「フランツ・リスト」(全日本ピアノ指導者協会編『ピティナ・ピアノ事典』、http://www.piano.or.jp/enc/composers/83/、2013年)
  • 「リストによるヴァーグナーのオペラ編曲法と『トランスクリプション』、『アレンジメント』、『ピアノ・スコア』の独自名称」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第15巻、2015年)
  • 「リストのマスタークラスにおけるピアノ編曲の役割」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第17巻、2017年)
  • 「オペラ編曲家としてのタールベルク」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第21巻、2021年)
  • 上山典子、高島知佐子「ユネスコ創造都市における国際音楽コンクール――ハノーファー、グラスゴー、浜松の事例――」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第21巻、2021年)
  • 「編曲市場に流通したベートーヴェンの交響曲」(『東邦音楽大学・東邦音楽短期大学研究紀要』第31号、2022年)
所属学会・団体 日本音楽学会、日本音楽表現学会
社会的活動 日本音楽学会関東支部例会幹事(2010年度)
日本音楽学会選挙管理委員会東日本支部委員(2014年度)
日本音楽表現学会『音楽表現学』編集委員(2015年度から2018年度)
日本音楽表現学会理事(2020年度から2021年度)
静岡県「子どもが文化と出会う機会創出事業(音楽)」評価委員(2019年度から)

メッセージ

私の専門は、フランス革命期から第一次大戦頃までにおよぶ「長い19世紀」の西洋音楽史です。なかでも19世紀の時代を象徴するフランツ・リスト(1811-86)を出発点に、彼のヨーロッパ全土に及んだ音楽活動、そしてその文化的・精神的背景としてのロマン主義に注目してきました。ウィーン、パリ、ワイマール、ローマ、そしてブダペストなどを拠点にしたリストは、当時のもっともコスモポリタンで活動的な音楽家の一人であり、このリストの足跡を追うためには、ヨーロッパの様々な都市や地域の音楽文化に目を向ける必要があります。

またこの数年は、パリのオペラ座周辺を発信地としてヨーロッパ中に旋風を巻き起こしたオペラのピアノ用編曲に注目してきました。リストをはじめ多くの音楽家が携わったオペラ編曲は、18世紀末までの音楽文化を構築してきた王侯貴族に代わり、日々の音楽生活を牽引するようになったパリやロンドンのブルジョワ階級、そしてドイツ語圏の教養市民層の大いなる関心を背景に、編曲者=楽譜出版業者=楽譜購入者、すなわち供給者=流通業者=需要者のすべてに利をもたらす市場の一大人気商品でした。ロマン主義時代の芸術家が常に「芸術のための芸術」をモットーに創作し、社会とは切り離された孤高の自律的作品を創作していたというのは後世の幻想であり、実際には彼らの多くが当時の音楽消費者の好みや流行に敏感で、楽譜出版や演奏会チケットの販売という市場の動向に並々ならぬ関心を持っていたのです。19世紀における編曲の興隆は、ブルジョワ階級の台頭とサロンの流行、ヴィルトゥオーソの登場と公開演奏会の発達、一般家庭におけるピアノの普及と楽譜産業の盛隆など、当時の社会文化史的動向と一体の現象だったと言えるでしょう。

本学が位置する浜松には、国内唯一の公立の楽器博物館があります。そこにはアジア、オセアニア、アフリカなど世界各地の楽器とともに、ヨーロッパの貴重な鍵盤楽器の数々が展示されています。これらはベルリン、ライプツィヒ、ブリュッセルなどヨーロッパ屈指の楽器博物館と比べても、勝るとも劣らぬ充実のコレクションです。ロココ文化栄える18世紀フランスの宮廷で鳴り響いたチェンバロ、1830年代パリのサロンでショパンが愛用したプレイエルのピアノ、あるいはリストに代表されるヴィルトゥオーソ・ピアニストたちが華麗な技巧を披露したエラールのピアノなどの歴史的な楽器を見つめることで、当時の人々の音楽生活、音楽文化を追体験することが出来るのです。
音楽が大好きな人、音楽について語りたい人、世界の音楽文化に興味がある人、音楽と他芸術の融合に関心がある人、音楽と社会の関係について考察したい人――音楽と関連する学びに対して強い欲求を持つそんな皆さんと共に、西洋の音楽や音楽の歴史、そして社会文化史を探求し、考え、語り、一緒に学んでいきたいと思います。