教員紹介

永井 聡子NAGAI Satoko

教授

  • 文化政策学部 芸術文化学科
  • 大学院 文化政策研究科
E-mailアドレス s-nagai@suac.ac.jp
キーワード:
舞台芸術論、劇場史、演劇史、演出、観客、劇場計画、劇場運営
出身地 岡山県
学歴 名古屋大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程修了(2001年)
学位 博士(工学)(名古屋大学、2001年)
経歴
  • 知立市市民ホール建設室(1999年)
  • ちりゅう芸術創造協会チーフプロデューサー(1999年から2008年)
  • 静岡文化芸術大学非常勤講師(2005年から2007年)
  • 静岡文化芸術大学講師(2008年)、准教授(2012年)、教授(2019年から)
担当授業分野 演劇文化論、劇場芸術論、劇場プロデュース論、舞台芸術論など
研究分野 演劇史、劇場史、演劇・ミュージカル・ダンスの舞台プロデュース
研究テーマ 演劇・劇場史研究、劇場・舞台作品プロデュース
研究業績 著書
  • 単著『新・舞台芸術史―劇場芸術の境界線を読み解く』(現代図書、2024年)
  • 単著『劇場の近代化』(思文閣出版、2014年)
  • 共著「劇場の近代化と築地小劇場」『築地小劇場100年ー新劇の20世紀ー』(編著 赤井紀美・熊谷知子、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2024年)
  • 共著『A History of Japanese theatre』(Edited by Jonah Salz 、Cambridge University Press、2016年)(中国語版に翻訳出版:訳・李玲『剑桥日本戏剧史 剑桥世界戏剧史译丛』、商务印书馆、2024)
  • 共著『文化庁委託事業 平成25年度劇場・音楽堂等人材養成講座テキスト』(全国公立文化施設協会編集WG、2014年)
  • 共著『焼け跡のカーテンコール』(世界劇場会議、2007年)
論文・解説
  • 「劇場モデルに関する研究②-劇場の近代化から引き継がれる日本型プロデューサーの意義」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第21巻、2021年)
  • 「創る観客論に立脚した劇場モデルに関する考察ー三島由紀夫『豊饒の海』第四巻「天人五衰」(2017年)と文楽人形創作オペレッタ「池鯉鮒乃宿祭縁」(2005年)」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第18巻、2018年)
  • 「劇場における象徴領域お演劇研究の理論と実践の方法論」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第17巻、2017年)
  • 「劇場空間の前舞台領域に関する考察:パリ・オペラ座(1875年)をモデルとする帝国劇場(1911年)の貴賓席について」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第15巻、2015年3月)
  • 「劇場モデルに関する考察-帝国劇場の「前舞台領域」消滅から捉えた「多目的劇場」誕生の経緯について-」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第13巻、2013年3月)
  • 「地域の劇場文化を日本の顔に」(『芸術批評誌【リア】―特集 劇場はだれのもの?』、リア制作室、2012年)
  •  「地域の劇場モデルに関する考察-「市民参加」を機能させるための方法と課題―」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第12巻、2012年)
  • 創立10周年記念公演ミュージカル・ドラマ「いとしのクレメンタイン」報告書(『静岡文化芸術大学研究研究紀要』第12巻、2012年)
  • 「特集 地域と劇場 地域の劇場をプロデュ―スするための方法と課題」(『ESTRELA』、財団法人統計情報研究開発センター、2011年10月)
  • 「明治末期より昭和期に至る劇場の現代性について」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第10巻、2010年)
  • 日本建築学会・劇場ホール小委員会シンポジウム「劇場・美術館シンポジウム」企画・寄稿「館長室はいらないー元気な劇場であるために」(2005年)
  • 「地域における「公共ホール」の活性化ー5周年を迎えた知立市文化会館の公演・講座の試みー」(日本文化経済学会、2004年)
  • 「日本の劇場空間の近代化に関する研究」(博士論文、名古屋大学、2001年)
  • 「明治末期より昭和期に至る劇場空間の近代化に関する研究―前舞台領域の空間的変遷」(『日本建築学会計画系論文集』第513号、2001年)
  • 「劇場空間と演出空間の相互関係に関する考察―築地小劇場の劇場空間 その1―」(『日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)』、1997年)
  • 「劇場空間と演出空間の関連に関する研究―明治末期から昭和初期にかけての舞台装置に関する考察―」(『日本建築学会東海支部研究報告集』第35号、1997年)
  • 「アドルフ・アッピアの演出理念における舞台と客席の関係性―20世紀初頭における劇空間に関する研究 その1」(『日本建築学会計画系論文集』第487号、1996年)
  • 「アドルフ・アッピアの舞台演出における建築観―StageとAuditoriumの融合に向けての試み―」(『日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道)』、1995年)  ほか
舞台作品(企画プロデューサー)
  • スペシャル講義ライブ 原作・小泉八雲「雪女」より 新作舞踊『YUKI』
    出演 大前光市、作・演出 花柳源九郎(大学講堂、2023年) 
  • 新作『弥次喜多オペレッタ 江尻の宿 旅路の正夢』作曲:佐藤容子、指揮:榊原徹、脚本・演出:伊豫田静弘、出演:下総源太朗、吉武大地、宇都宮直高ほか(マリナート、2022年)
  • 三島由紀夫原作『豊饒の海』第四巻「天人五衰」語り白石加代子、振付・ダンス 大前光市、二十五絃箏 中井智弥、演出 木村繁、作曲 佐藤容子(マリナート、2017年2月)
  • 富士山世界文化遺産記念 羽衣伝説より「HAGOROMO水鏡の天女」
    振付・出演:平山素子(ダンス)、中井智弥(箏)、篠田浩美(マリンバ)(マリナート、2015年)
  • 静岡市清水文化会館マリナート開館記念事業 DANCE&ACT「Julietーシェイクスピアの秘めたる恋」 出演:別所哲也、平山素子ほか(マリナート、2013年3月)
  • 静岡文化芸術大学創立10周年記念公演 ミュージカル・ドラマ
    「いとしのクレメンタイン」出演:田中利花、戸井勝海ほか(大学講堂、2010年)
  • 演劇&ダンス「水の宿」出演:下総源太朗、平山素子、有賀誠門
    (知立市文化会館・銀座博品館劇場、2008年)
  • 文楽人形創作オペレッタ「池鯉鮒宿祭乃縁」音楽監修:三木稔、作曲:佐藤容子
    指揮:榊原徹、演出:木村繁、出演:豊松清十郎、天野静雄ほか
    (知立市文化会館・名古屋⻘少年文化センター、2005年・2006年)
  • パティオ・ダンスプロジェクト2006  原作:小泉八雲「怪談」より「雪女」
    出演:平山素子、三味線:野澤徹也、尺八:山口賢治(知立市文化会館、2006年)
  • パティオ・ダンスプロジェクト2005「刺激的な身体ー神舞KANMAIを踊る」
    演出・出演:平山素子、共演:工藤聡、演奏:知立祭囃子研究会(知立市文化会館、2005年)
  • ダンス&トーク 対談 伊藤キム×養老孟司 (知立市文化会館、2001年)
  • プロと市⺠の共同参画劇 作:井上ひさし「キネマの天地」作:泉鏡花「薬草取」
    作:木村繁「展示室」ほか(知立市文化会館・愛知県芸術劇場、2000年から2006年)
評価
  • Satoko Nagaiの研究がイギリス学術誌Routledge(Contemporary Theatre Review)から評価(2017年7月)
  • 共著『A History of Japanese theatre』(Cambridge University Press、2016年)が米国図書館協会Choice誌「Outstanding Academic Titles2017」(2018年1月)選出
その他の活動
  • 公立文化施設協議会講演(韓国)「地域における公共ホールの活性化」について(2003年)
所属学会・団体 日本建築学会、日本演劇学会、日本文化経済学会、日本建築学会 文化施設小委員会WG委員(東京)、劇場演出技術協会(JATET)・建築部会委員(東京)
社会的活動
  • 静岡県、静岡市、浜松市、磐田市、袋井市、名古屋市ほか
  • 設計プロポーザル、文化振興計画、指定管理選定等各種委員会部会⻑・委員 
  • 日本音楽学会第75回全国大会パネル企画コメンテーター「日本洋楽史における帝国劇場 ―初代支配人・山本久三郎(1874–1960)旧蔵資料をもとに―」(2024年)
  • 舞台芸術公開講座「女性を演じる」企画・プロデューサー、講師「初代帝国劇場と帝劇 女優」、(共演:豊松清十郎、花柳源九郎、観世喜正)(2024年9から12月) 
  • 講演「創客を劇場の境界線から考えるー市⺠参加と専門性」(主催 座・高円寺/国際演 劇評論家協会[A I CT])(2024年) 
  • 講演「高齢社会が紡いだ劇場文化」都市と芸術の研究会(東京大学)(2023年) 
  • 日本演劇学会研究集会パネル企画コメンテーター「アイホール問題を考える」(2021年)
  • 日本演劇学会研究集会シンポジウムモデレーター「劇場を日本の顔にー専門性と参加」(2018年)
  • 独立行政法人日本芸術文化振興会・地域文化活動専門委員(2015から2018年)主査代理 (2016から2018年)
  • 独立行政法人日本芸術文化振興会・演劇専門委員(2012から2014年) 
  • 独立行政法人日本芸術文化振興会・トップレベルの舞台芸術公演事業評価WG委員(2013 年)
  • 静岡市清水文化会館演劇系アドヴァイザー(2012年から) 
  • 磐田市文化会館等運営委員(2010年から) 
  • 磐田こどもミュージカル育成委員(2019年から)
  • 刈谷市総合文化センター開館記念公演・市⺠スタッフ養成講座講師(2008年、2009年) 
  • 名古屋市⻘少年文化センターアートプロデュース講座講師(2008年) 
  • 豊橋市主催・市⺠協働プログラム推進事業・総合コーディネーター(2005年から2007 年)企画・プロデューサー(2008年)
  • 特定非営利法人世界劇場会議名古屋理事(2007年)中国(南京市)・世界名城歴史博覧会⻘年フォーラムスピーチ(名古屋市より推薦) (2004年5月) 
  • 公立文化施設協議会講演(韓国)「地域における公共ホールの活性化」について(2003 年)
  • 公立文化施設協議会アートマネージメントセミナーにて報告・レポート執筆(2002年)
  • 日本建築学会・劇場ホール小委員会シンポジウム「まつもと芸術館開館記念」寄稿
  • 日本建築学会・劇場ホール小委員会シンポジウム・新音楽ホール「ミューザ川崎」見学 会企画

メッセージ

劇場研究とプロデュース

「劇場」を「人」「作品」「空間」「観客」と定義して単著『新・舞台芸術史―劇場芸術の境界線を読み解く』(現代図書、2024年)を出版しました。演劇、舞台芸術、劇場の謎を解き明かす一冊です。実践と学問の境界から生み出される「劇場」の持つメカニズムを探究し続けたいと思っています。

大学院博士課程での研究後、劇場にプロデューサーとして10年勤務し、「地域の劇場」はどうあるべきかを考えながら、「演劇」や「ダンス」などの舞台作品の製作を行い、教員である現在でも続けています。

劇場における専門家の立場にいながら100人のボランティア市民の皆さんとの協働事業も進めてきました。市民の方々とともに、地域の「芸術・文化」を「財産」とするために、一丸となって事業に取り組んできました。「劇場」は「生きもの」です。劇場という「空間」を拠点にして、舞台の専門の領域で働く人々と地域の市民とのエネルギーがぶつかりあってまた新しい「地域の文化力」が生まれるということを実感してきました。

大学では、学生に演劇、舞台芸術、劇場の歴史や理論とともに、「現場」の持つ力を感じることや「現場力」を自らつけることができるよう「企画を実践する」という舞台製作の現場を体験する授業、そして演出家、舞台美術家など舞台芸術の専門家の存在を知る機会を設定して教育に努めています。

舞台作品の製作や研究、教育を通して、地域の文化が「創造」され「発信」されていく環境を創っていきたいと思います。