教員紹介

梅田 英春UMEDA Hideharu

教授 文化政策学部長

  • 文化政策学部 芸術文化学科
  • 大学院 文化政策研究科
E-mailアドレス h-umed@suac.ac.jp
キーワード:
インドネシア、バリ、音楽、芸能、文化政策
出身地 東京都
学歴 総合研究大学院大学文化科学研究科単位取得退学(1999年)
学位 修士(国際学)(桜美林大学、1996年)
経歴 国立音楽大学附属図書館(1990年から1999年)
沖縄県立芸術大学音楽学部 准教授(1999年から2012年)
国立民族学博物館 連携研究員(2010年から2014年)
沖縄県立芸術大学附属研究所客員研究員(2012年から)
静岡文化芸術大学教授(2012年から)
担当授業分野 音楽と社会、文化と芸術B、東南アジア文化論(大学院)
研究分野 民族音楽学、音楽人類学、政策人類学
研究テーマ インドネシア、バリ島の芸能と文化政策、沖縄・奄美地方の音楽文化政策、日本からインドネシアに伝播した大正琴の変容
研究業績 著書
  • 『バリ島の芸能 資料所蔵目録』(共編著、国立音楽大学附属図書館、1991年)
  • 『音楽情報と図書館』(共著、大空社、1995年)
  • 『情報探索ガイドブック--情報と文献の森の道案内』(共著、勁草書房、1995年)
  • 『黒澤隆朝 東南アジア音楽紀行』(編著書、大空社、1999年)
  • 『地域・観光・文化』(共著、嵯峨野書院、2001年)
  • 『観光開発と文化--南からの問いかけ』(共著、世界思想社、2003年)
  • 『現代インドネシアの地方社会――ミクロロジーのアプローチ』(共著、NTT出版、2006年)
  • Authenticity and Cultural Identity.(共著、National Museum of Ethnology, 2007)
  • 『世界の芸術文化政策』(共著、放送大学教育振興会、2008年)
  • 『アジア太平洋の人的移動』(共著、SAKUTA、2008年)
  • 『変わるバリ・変わらないバリ』(共著、勉誠出版、2009年)
  • 『バリ島ワヤン夢うつつ――影絵人形芝居修業記』(単著、木犀社、2009年)
  • 『インドネシア芸能への招待――音楽・舞踊・演劇の世界』(共著、東京堂出版,2010年)
  • 『フィールドワーカーズ・ハンドブック』(共著、世界思想社、2011年)
  • 『バリ島の影絵人形芝居ワヤン』(単著、めこん、2020年)
  • 『現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇』(共著、めこん、2022年) 
  • Ramayana Theater in Contemporary Southeast Asia(共著、Jenny Stanford, 2023年) 
論文
  • 「バリ島のワヤンにおける従者の性格とその役割」(単著『Magis(桜美林大学大学院国際学研究科紀要)』1号、1996年)
  • 「サプ・レゲール――バリ・不幸な誕生日を浄化する儀礼」(単著、『季刊民族学』76号、1996年)
  • 「20世紀前半の日本におけるアジア音楽研究――黒澤隆朝の音楽観の変遷」(単著、『MLAJ Newsletter』8号、1998年)
  • 「バリ島のガムランの音楽の「村落の様式」が意味するもの――トゥンジュク村の音楽様式に関する一考察」(単著、『沖縄県立芸術大学研究紀要』8号、2000年)
  • 「グンデル・ワヤン・バテルの概要――バリ島のガムラン編成の一形態」(単著、『MOUSA』1号、2000年)
  • 「沖縄観光における「文化」を考える」(単著、『MOUSA』2号、2001年)
  • 「観光文化政策からみたかりゆし芸能公演」(共著、『MOUSA』2号、2001年)
  • 「バリ人のしたたかな選択と戦略」(単著、『季刊エクスムジカ』4号、2001年)
  • 「神々に捧げるワヤン――スクリーンのない影絵人形芝居「ワヤン・ルマ」にみる儀礼性」(単著、『民族藝術』17号、2001年)
  • 「バリ舞踊の聖俗論議セミナー(1971年)の答申をめぐる一考察」(単著、『MOUSA』4号、2003年)
  • 「バリ島の影絵人形芝居ワヤンにおける人形の手の表現と役割」(単著、『信学技報』vol.105、2005年)
  • 「「中国趣味」から共存へ――西洋音楽におけるバリ島のガムラン•の影響」(単著、『MOUSA』6号、2005年)
  • 「儀礼かそれとも見世物か?――バリのサプ・レゲール儀礼におけるワヤン上演の変化」(単著、『沖縄県立芸術大学研究紀要』13号、2005年)
  • 「バリのサプ・レゲール儀礼におけるワヤン演目の研究――イ・マデ・クンバルの上演事例から」(単著、『沖縄芸術の科学』第18号、2006年)
  • 「ワヤンの人形遣い」になったバリのダラン――バリ州政府の文化政策によって剥奪されたダランの宗教性」(単著、『東洋音楽研究』71号、2006年)
  • “Between Adat and Agama: The Future of the Religious Role of the Balinese Shadow Puppeteer, Dalang.”(単著、Asian and African Area Studies 5(2), 2006)
  • 「バリ舞踊レゴン・クラトンにみられる創られた伝統」(単著、『MOUSA』8号、2007年)
  • “Island of Entertainment of Paradise of Recuperation?: Prospect of Performing Arts in Bali Tourism.”(単著、Journal of Asia Pacific Tourism and Hospitality. vol. 2, 2007)
  • 「バリのワヤン演目「クンバカルナの戦死」に関する一考察」(単著、『MOUSA』9号、2008年)
  • 「タイ南西部における影絵人形芝居ナン・タルンの諸特徴」(単著、『沖縄芸術の科学』20号、2008年)
  • 「バリ舞踊《ヌラヤン》は社会主義舞踊として創作されたのか?――スカルノ政権下のバリにおける芸能の文化政策」(単著、『沖縄芸術の科学』21号、2009年)
  • 「バリにもたらされた大正琴――タバナン県プジュンガンのノリン」(単著、『MOUSA』11号、2010年)
  • 「スカルノ政権下のバリにおける社会主義リアリズム舞踊の再評価」(単著、『沖縄芸術の科学』22号、2011年)
  • 「バリにもたらされた大正琴――カランガスム県アムラプラ周辺のプンティン」(単著、『MOUSA』12号、2011年)
  • 「大正琴の伝播とグローカリゼーション―台湾・インドネシア・インドの事例―」(共著、『京都教育大学紀要』120号、2012年)
  • 「「アダット」から「アガマ」へ――現代バリにおける悪魔祓いサプ・レゲール儀礼の復活」(単著、『沖縄芸術の科学』(沖縄県立芸術大学附属研究所紀要)第25号、2013年)
  • 「ロンボック島におけるゴング工房と楽器商」(単著、『沖縄芸術の科学』(沖縄県立芸術大学附属研究所紀要)第26号、2014年)
  • 「インドネシア・バリ島の教育機関に関係あるガムラン・ゴング・クビャールの音高」(共著、『日本大学生産工学部研究報告A』第47巻第1号、2014年)
  • 「バリ島の人形影絵芝居ワヤンにおける人形遣いダランの声」(単著、『サウンドスケープ』(日本サウンドスケープ学会機関誌)第17巻、2016年) 
  • “Changes of Balinese Gamelan in Indonesia: Pitch of Gamelan Gong Kebyar Relating to Educational Institutions.” Report of The Research Instiotute of Industrial Technology, Nihon University, no. 100, 2016.
  • 「戦前の日本における大正琴の輸出とそのインドネシアへの伝播」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第17巻、2017年)
  • 「インドネシア・バリ島のガムランの変遷――ガムラン・プレゴンガンの音高」
    (共著、『日本大学生産工学部研究報告A』第50巻第1号、2017年)
  • 「バリ島西部ププアン村に伝承される大正琴を起源とする楽器マンドリン」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第18巻、2018年)
  • "Changes for Gamelan Pelegongan in Bali of Indonesia"(共著、Journal of the College of IndustrialTechnology Nihon University 53(1)、2020)
  • 「新しい島唄《懐かしい未来へ》が担う役割―世界自然遺産登録に向けた奄美大島の新たな試み―」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第21巻、2021年)
  • 「鬼女となった姫――バリの影絵人形芝居ワヤン・クリッにおけるマハバラタ演目の創作の試み」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第22巻、2022年)
  • 「大正琴を起源としたバリの楽器プンティンの『伝統化』とその大正琴へ回帰の兆し」(単著、『静岡文化芸術大学研究紀要』第23巻、2023年)
書評・解説・調査報告・事典項目等
  • 解説「スマラ・ラティ歌舞団上演のラーマーヤナ」『第2回アジア太平洋芸術フォーラム資料集――ラーマーヤナの芸能、東南アジアへの広がり』(兵庫現代芸術劇場、1993年)
  • CD解説「ゴング・スマラ・ダナ――バリ島スマラ・ラティ歌舞団」(Victor VICG22、1993年)
  • 事典項目「図書館:インドネシア」『ニューグローヴ音楽大事典 別巻1』(講談社、1995年)
  • 書籍解説 ヴィキィ・バウム『バリ島物語』(金窪勝郎訳)(筑摩書房、1997年)
  • 視聴覚資料評「東亜の音楽」(日本コロンビア、1998年)
  • 「タイ人形影絵芝居に関する調査報告――2000年、2004年タイ芸能調査から」(『沖縄の芸術と科学』17号、2005年)
  • CD監修・解説「バリ島トゥンジュク村のゴング・レコⅠ」(器楽編)アコースティック・レコード(NARD-5012、2009年)
  • CD監修・解説「バリ島トゥンジュク村のゴング・レコⅡ」(器楽編)アコースティック・レコード(NARD-5013、2009年)
  • 書評 山田陽一編『音楽する身体――〈わたし〉へと広がる響き』、小沼純一『魅せられた身体――旅する音楽家コリン・マクフィーとその時代』(『東洋音楽研究』74号、2009年)
  • 書評 田邊尚雄著・植村幸生校注『東洋音楽史』、(『東洋音楽研究』80号、2015年)
  • 解説「バリ島のガムラン」、「Gamelan in Bali」(『浜松市楽器博物館創造案内』浜松市楽器博物館、2015年)
  • 書評 野澤暁子著『聖なる鉄琴スロンディンの民族誌――バリ島トゥガナン・プグリシンガン村の生活、信仰、音楽』(『東洋音楽研究』81号、2016年)
  • 「書評 寺田吉孝著『音楽からインド社会を知る : 弟子と調査者のはざま』(印東道子・白川千尋・関雄二編 フィールドワーク選書)」(単著、『東洋音楽研究』82号、2016年)
  • 「バリ島の影絵人形芝居 ワヤンの修業の世界」(単著、『青淵』(渋沢栄一記念財団機関誌)、871号、2021年)
  • 「インドネシア・バリのハイブリッド型芸術祭」(単著、『月刊みんぱく』、47(1)、2023年)  
その他の活動
  • 舞台プロデュース
  • 2008年国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ キジムナーフェスタ 「ケチャ ラーマーヤナ物語」(2008年7月、沖縄市)
  • 2010年国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ キジムナーフェスタ「音楽劇 チャロナラン~黒魔術の物語」(2010年7月、沖縄市)
  • 2010年国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ キジムナーフェスタ「音楽劇 チャロナラン~黒魔術の物語」(2010年7月、沖縄市)
  • 舞台プロデュース
  • 2012年国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ キジムナーフェスタ 「武将アルジュナの瞑想」(2012年7月から8月)
  • 舞台プロデュース、舞台演出
    2015年国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ りっかりっかフェスタ 「歌舞劇 ラーマーヤナ」(2015年7月から8月)
  • バリ芸能上演活動
    バリ島の人形影絵芝居の人形遣いダランとして日本各地で公演を行う。
    詳細は以下のWebサイトを参照
  • http://wayangtunjuk.web.fc2.com/profile.html
所属学会・団体 日本文化人類学会、東洋音楽学会、日本音楽学会、王立オランダ人類学会
社会的活動
  • 東洋音楽学会理事(2010年から2014年、2016年から)
  • 沖縄県沖縄文化活性化・創造発信支援事業(沖縄県アートカウンシル)アドバイザリーボード(2012年から)
  • 浜松市創造都市推進会議音楽専門部会・部会長(2014年から)
  • 浜松創造都市推進会議 理事(2014年から)
  • 静岡文化芸術大学大学生協 理事(2014年から)
  • 浜松市鴨江アートセンター 副館長(2017年から)
  • K-Mix(静岡FM、毎週土曜日午前6時30分から午前7時 番組名:ミューグレ)ラジオパーソナリティー(2017年から)

メッセージ

かつて「民族」や「文化」の概念は、「地域」と深く結びついていました。たとえば、「日本民族」や「日本文化」といったとき、それは「日本列島」に限定して考えた時代があったのです。でもよく考えてみれば、そんな時代はもう過去のもので、人々は仕事や留学、観光、また移民として世界中に広がっています。世界規模で人々は移動しているのです。人だけでなく、情報もまた世界規模の広がりを見せています。みなさんが普段利用するインターネットは、情報を瞬時に世界各国の不特定多数の人々に伝えることができるのですから。

音楽も同様です。人々の移動とともに、あるいは情報メディアの力によって世界中の音楽は、地域や国を越えて広がり、そんな音楽と音楽が出会い、そして新たな音楽が誕生しています。私がバリ島で学んだガムラン音楽は、もはやインドネシアだけのものではありません。世界数十ヵ国にグループがあり、各地で活動するだけでなく、地域ごとに新しい音楽が誕生しています。ポピュラー音楽に目を向ければ、そうした状況は枚挙のいとまがありません。アメリカで誕生したポピュラー音楽は、レゲエ、ボサノヴァなどのさまざまなジャンルの誕生とかかわりを持ったのです。しかしその一方で、いわゆる「伝統音楽」は、世界規模で衰退しつつあり、各国、各地域で保存、維持、育成活動が盛んに行われるようになっています。

私は民族音楽学者です。そんな私から学んでほしいのは、世界各地の「伝統音楽」を学ぶことはもとより、21世紀におけるわが国の、そして世界を取り巻く音楽の状況です。なぜなら、そうして学んだ音楽に関するさまざまな知識は、アートマネージメントの根幹をなす大きな柱の一つだと私は考えているからなのです。皆さんは必ず、私の授業の中で今まで聞いたことも、みたこともないような音楽や芸能と出合うはずです。そして、そんな出会いを通して、多様な音楽文化を受容することのできる豊かな感性を磨き、そこで学んだ音楽を舞台やイベントの制作、さらには社会の創造につなげていってもらいたいと私は強く願っています。