教員紹介

横山 俊夫 YOKOYAMA Toshio
学長
- President
文明、節用集、日用百科書、18世紀日本社会、文化交渉史、表現力、科学術語
出身地 | 京都市 |
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学歴 |
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学位 | 哲学博士/D.Phil.(オックスフォード大学、1983年) |
経歴 |
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専門分野 |
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研究テーマ | 18、19世紀の日本の町や村で使われた部厚い「節用集」(和漢字引、礼儀作法指南、教養入門、占い手引きなどを合わせた日用百科書)のことを調べて20年あまりになります。全国に残る実物の〝手擦れあと〟を見ますと、雅びをめざした人、物見遊山に熱心だった人、神仏の罰におののいて暮らした人など、さまざまな顔が、地域や職業の差を越えて見えてきます。それらの知見は、文明学の立場から、とくに古典的な天地文明を考える立場から、どのように解釈できるか――これがただ今の関心事です。 |
研究業績 |
主な著書
注:上記は2000年から近年までのおもな論文です。なお、1973年から2012年までの著作目録は、「横山俊夫教授 略歴・著作目録」、『人文学報』(京都大学)103号、2013 をご覧下さい。著書・編著31、翻訳8、論文66、編集定期刊行物7、国際会議録9、辞典項目7、書評12、その他(抄)275、英文シリーズ記事監修3、を掲載しております。京都大学学術リポジトリでご覧になれます。 作品・プロジェクト主要科学研究費補助金研究(代表)
招待講演など(抄)
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受賞歴 | 情報処理学会研究賞(1993年) 京都市長表彰「未来の京都町づくり推進表彰」(国際化)(2021年) |
所属学会・団体 | ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)(1978年から)、比較法史学会(1991年から2012年)、国際東アジア科学技術医学史学会(ISHEASTM)(1993年から)、情報処理学会(1993年から2006年)、日本18世紀学会(2009年から)、近世京都学会(2011年から2015年)、日本漢字学会(2018年から)、比較文明学会(2019年から) |
社会的活動(抄) |
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メッセージ
日本文化への私の関心がつのったのは、1970年にインドネシアの東ジャワの山村に滞在中のことでした。親しくなった村人たちからの質問が増えるうちに、自分が自国のことをよく知らないことに気づいたのです。帰国して、浜松育ちの賀茂真淵が18世紀後半にあらわした『国意考』の太平持続策に出会ったのが研究生活の始まりです。
東アジアで古くから言われる「文明」とは、〝文(あや、うつくしい織物の様)をなして明るく輝く世〟を意味しました。地球規模でかかわりあう現代社会は、あたらしい技術につき動かされ、利便だけでなく闇をも増殖させております。「文明」と呼ぶにはほど遠いままです。他方、江戸中期の日本社会は、ある程度までは明るく安定していました。小規模な文明化の体験があったと言えます。その事跡には、これからの人類社会を明るくするヒントがありそうです。
近年、科学や技術の用語が専門外の世界ではますます通用しにくくなっています。このままでは、分野を越えて対話を深め、互いに"文"を織りなすことは困難です。かたや、芸術家や工芸家の表現力は時に多くの人の心をつなぎます。双方の世界が近づき、大切な感性と知識を深め、世に広める工夫はないものか、共に考えてゆきたいものです。