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教員紹介

佐伯 康考SAEKI Yasutaka
准教授
- 文化政策学部 国際文化学科
キーワード:
多文化共生、移民政策、外国人労働者、教育経済学、SDGs/ESG
出身地 | 愛知県 |
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学歴 | 関西学院大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(2016年) |
学位 | 博士(経済学)(関西学院大学、2016年) |
経歴 | 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室特任助教 大阪大学大学院国際公共政策研究科特任准教授 などを経て2022年4月より現職 |
担当授業分野 | 多文化共生論、国際労働力移動論、英語コミュニケーション |
研究分野 | 国際的な人の移動研究(Migration Studies) |
研究テーマ | 日本語指導を必要とする子どもへの切れ目ない教育支援, 科学的根拠に基づいた外国人材政策立案ー「生活者」と「労働者」の視点からー |
研究業績 | 著書 (単著書籍)
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所属学会・団体 | 移民政策学会 |
社会的活動 |
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メッセージ
国際的な人の移動については、外国人が増えると仕事が奪われる・治安が悪くなるといった科学的根拠(エビデンス)のない感情的議論が世界中で広がっています。感情論だけでなく、科学的根拠に基づいた外国人材政策立案に貢献するべく、経済学的な手法を中心としつつ学際的にアプローチしています。
例えば日本人と外国人では賃金格差が大きいという先入観を持ちがちですが、私たちの研究チームが厚生労働省から匿名個票データ提供を受けて実施した分析では、日本人労働者と外国人労働者の間に賃金差は存在するが、その差は、年齢や教育年数、性別等の個人属性をコントロールするとかなり小さくなることが明らかになりました。つまり、日本人労働者と外国人労働者間の賃金差は確かに存在するものの、その差は労働者個人の属性に大きく起因すると解釈できます。
また静岡県と実施した外国にルーツを持つ中学生の実態調査を通じ、外国にルーツを持つ生徒にとっての母語・継承語と自尊感情の関係性に関しては、母語・継承語の技能レベルと、「自分自身への満足度」「自己肯定感」に正の相関関係があり、特に母語・継承語を「話す」技能と正の関係性が強いことを明らかにしました。この調査結果は中日新聞と静岡新聞で複数回にわたって報じられ、静岡県が令和6年度に策定した「県日本語教育方針」に母語の尊重や教育支援の必要性が盛り込まれるなどの政策変化をもたらしました。
これからも当研究室では、国際移民をめぐる政治的閉鎖性、経済的開放性、人権伸長の3つのせめぎ合い(「人の国際移動のトリレンマ」)を直視した上で、国際移民の社会統合の遅れを補うための公共政策について理論的及び実証的に究明しています。仲間と共に、「知と実践の力」を高め合おうとする主体性ある方の参加を歓迎します。